2023.03.26

[連載BLOG5話]地域の材を地域でつかう流れへ

前回のブログでは、やっとのことで木材運送の仕組みをつくったものの、今度は「運送輸部門における二酸化炭素の排出量問題」「物流業界の2024年問題」などの影響をうけ、どんでん返しとなったお話をさせていただきます。

時代のキーワードとして「SDGs」「カーボンニュートラル」などが頻繁に叫ばれるようになってきています。

「大変は大きく変わる時」といいますが、新型コロナウィルス感染症の流行をキッカケに、変化のスピードが加速しています。 第五話は小川耕太郎本人の文章で書かせていただきます。お付き合いのほどよろしくお願いします。


ご注文を受けても配送ができない

木もちeデッキ木もちe外壁(三重県産の木にウッドロングエコを塗布したもの)を配送してくれていた運送会社が長尺物の配送をやめてしまった。他の運送会社にあたったが、どこからも良い返事はなかった。困った。年間1億円ほどの木材部門の売上が一気に半分以下に減ってしまった。

一本の電話が転機となる

2018年、ある方からの電話が転機となった。「新潟で製材をしているものです。地元の魚沼杉にウッドロングエコを塗り、弊社で販売しても良いですか?」という内容だった。

私はもう長尺物は送れないのだし、地域の山を何とかしたいという方ならやってもらって良いのではないかと判断し、「どうぞ、よろしくお願いします」と答えた。


しばらくして新潟へ出向き、どのように塗ったらよいかなどウッドロングエコの説明をした。 どのように販売していくのかについて話を伺ったところ、※1)設計士さんがウッドロングエコを塗った木を外壁などに使ってくれることになり、その方と協力して魚沼杉を広げていきたい」とのことだった。
「コレだよコレ」重い材を遠くまで運んで販売するより、軽い粉であるウッドロングエコを送って地域ごとに外壁やデッキ材をつくってもらい、販売してもらえばいいんじゃないか。

※1)「地材地建(地域の材をつかい地域で建てる)をモットーに、地域材を積極的につかう建物を設計する石田伸一建築事務所様。以下の画像は石田伸一建築事務所さまの設計された建築物の一部になります。

地域の木で地域の外壁を

木を外壁に使う文化は、日本国中にあったのだから、私が「外壁に国産材を使いましょう」と一人で営業に回るより、地域ごとにそういう想いのある方をみつけて、その方に広げてもらえるのであれば、その方が良いにきまっている。

ただそういう人などいないと自分で思い込んでいただけで、ほんとうはどの地域にもいるのだよ。その人達をみつけ、あとはウッドロングエコの正しい使い方、説明の仕方を広げればよいじゃないか。

ウッドロングエコが選ばれた理由は「塗り直し不要」と、、、

幸い、今ではいろんな地域でウッドロングエコが使われ始め、ネットで調べると、ウッドロングエコを塗ったお客様がSNSなどを通じて、どんどん広がってきているのがわかる。相変わらず「木を外壁につかうなんてクレームが怖くて出来ない」とか、「今時の人は木を使いたがらない」という人は多いけれど、変化に気づいていないだけだ。これから益々木の外壁は広がっていくと思う。その際に大切なのは2つ。

一つ目:有害物質をださないこと

ウッドロングエコは土壌汚染対策法(環境省)で指定される有害物質検出なし /淡水魚毒性試験にて毒性なし

二つ目:「塗り直し不要」なので、「足場を組み塗りなおすという作業がいらない」こと

ウッドロングエコが選ばれた理由はここにある。


ウッドロングエコのインタビュー冊子をつくる

小川社は、毎年開催される「モクコレ(東京都主催)」へ三重木材連合として出展をしている。2022年のモクコレというイベントでは様々なセミナーや講演があり、私(小川耕太郎)もプレゼンをすることになった。

そこで、 ウッドロングエコをご使用いただいていて、かつ地域材にこだわったサスティナブルな取り組みをしている、日本各地の事業所を紹介することにした。

プレゼン資料を制作するにあたり、ご紹介をさせていただく事業所様へ連絡をし、Zoomで取材をして資料をまとめた。しかし、新型コロナウィルス感染症の流行が続く中、開催が中止になった。用意していた プレゼン資料は無駄になってしまった。

今回の取材で様々な事業の方々と連絡を取ったことで、思いついたことがあった。

「せっかく、日本各地にそれぞれのやり方で地域材需要を伸ばしている事業所があるのだから、小川社が ※2)コミュニティサイトをつくれば、コミュニケーションがとれるようになり、それによって地域材の利用も促進されるのでは?」

しかし、小川社にはネットセキュリティー専門の人員がいない。いつもWEBを制作していただいている方からの忠告も受け、コミュニケーションサイトの方向はわが社には向いていないとあきらめた。

※2)コミュニケーションサイトとは 
コミュニティサイトとして有名なのは「Apple公式サポートコミュニティ」。Apple製品やサービスを最大限に活用することを目的とし、メンバー同士がお互いに助け合う場所として提供されている。また、任天堂はゲームごとにオフィシャルサイトを開設し、その中にファンのコミュニティーサイトをつくっている。さらに、commmune(コミューン)などは、起業とユーザーをつなげるためのコミュニティマーケティングツールを制作する専門会社などもある

妻から「インタビュー冊子をつくってみてはどうか」という話がでたので、4回にわたりインタビュー冊子をつくっている。第一号は春に出る予定だ。

第一号のコンセプトは「地域材と地域経済」。

フリーペーパーを制作することにより何が動くかはわからないが、自社の商品をPRするだけの売り方ではダメだと思う。製作にあたり、さまざまなお客様のインタビューをしてみて気がついたのは、そこには時代のキーワードがギュッと詰まっているということだ。

ウッドロングエコの販売代理店になったときに定めた目標「この商材をつかって国産材需要を伸ばす」にむかい、いろいろな角度から歩みを進めていこうと思う。



『ウッドロングエコと人』WEB版 

つづく




文:小川耕太郎∞百合子社 小川耕太郎(おがわ・こうたろう)
1961年生まれ。三重県尾鷲市出身。早稲田大学卒業後、不動産会社、住宅メーカーに就き勤務、30歳を機にUターンし家業の製材所を手伝う。1998年夫婦で小川耕太郎∞百合子社を起業。未晒し蜜ロウワックスをはじめ、生態に負荷をかけないエコ建材の開発及び販売をおこなっている。


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