2023.03.25

[連載BLOG4話]ウッドデッキの床下工法別に耐久試験を行う

ウッドロングエコ仕上げの
ウッドデッキ用材を商品化する

【実験台の家】をリノベーションする前に、ウッドロングエコを塗布したウッドデッキ用材(

木もちeデッキ)の製造販売をはじめました。製造といっても、私どもは製材機がないため製材所と組み自社商品をつくります。

木もちeデッキ 特徴は2つ
(1)一本から購入でき、ご注文後、翌日には工事現場にお届けできること。

(2)すでに塗装済みなので、現場にお届けしたらすぐに使えること。

翌日に届くというサービスは当時としては画期的でした。また、従来の木材販売は「一束」単位が常識でしたから、一本単位で注文できるというのもあまり例がなかったと思います。

運送業からみると、長さ4m(木材の規格は長さ4mが多い)の木材を運送するのですから、束の単位なら荷積みが楽というメリットがあります。ただ、宅急便の場合はいろいろな荷物を積むことが前提なので他の配送物と長さ4mの木材を組み合わせて荷積みするとなると、かなり難しく、翌日に届けるというのはサービスとしてハードルが高いものになります。

工事現場からみると、材料が不足した場合、束単位だと材料があまってしまうというデメリットがあります。また、無塗装の木材の場合は、工事現場でウッドロングエコを塗り乾燥させる場所がないという問題点がありました。

「デッキ材1本から配送します!」というサービスは、運送業者さまのご協力のお陰でした。

図面をみて木拾いをする

デッキや外壁などのお見積りは無料です。お見積りの流れは
(1)小川社に設計図がおくられた図面をみながら木拾いをする。
(2)現場までの運賃を計算して見積を提示する。
※現場までの道のりをMAPで確認をして、車がはいるか?など確認します
(3)お見積りがOKの場合はご入金いただく。

尾鷲市から発送するとなるとで配達地域が限られる上、運賃が高すぎるため、木材専用倉庫は松阪市にあります。木材の在庫は小川社が持ち、少量から発送というサービスは、工務店様や建材屋様にとっては在庫をもたずにすみますので、このサービスは反響がありました。

また、今は、無垢材をつかったことがない施工事業者さまも多いので、小川耕太郎が販売店様の営業に同行させていただき、今まで無垢材をつかったことがないお客様にも「自然素材」に興味を持っていただく流れをつくりました。

これらの取り組みにより、地域材をつかった安全なウッドデッキ用材が選択肢の一つとなりました。一時は小川社の売上げの核となり、パートナーである製材所様にもかなりの発注ができました。

防腐剤との違いを ご理解いただけない苦悩

湿度の高い日本では、ウッドデッキ材の床下の工法や、お掃除の頻度によって長もちの度合いが変わります。カタログに明記し て口頭でもお伝えしていましたが、お客様の記憶に残らなかったのでしょうか。そのあたりの重要性がをご理解いただけなかったことが多々ありました。

木材業界からみれば、無垢のウッドデッキの上に植木鉢を直置きしたら、木が腐ることは常識ですが、近年は防腐剤を塗っている木がほとんどですから、そのような注意点がなかなか理解されずにクレームにつながったのかもしれません。

床下工法別耐久試験を開始した結果♡

色々な事例を経験して分かったことは、湿度の高い日本で雨を水平にうけるウッドデッキをつくると通風や水はけがとれず、木が腐る原因となっているということです。

そこで、無垢のウッドデッキの上に植木鉢を置いたり、幕板を隙間なくくっつけて張ったことが原因で腐ってしまったというクレーム事例を、自社でも再現したりして、 ビフォーアフターの事例を写真でみせることにしました。これは効果てき面でした!

また、弊社が推進する床下工法や、クレームを受けた事例の工法をはじめ、全部で27台の床下工法別耐久試験を行いました。当時のデッキ担当者が自らウッドデッキを設置して経過を観察し、それらの実験をベースに製材所様と相談をしながら、どのような材なら大丈夫なのかを検証し、ウッドデッキに適した材の選定をし直しました。

さらに、松阪倉庫で塗装作業をするときは、塗装前に木の専門家がその中からウッドデッキに適した材を選別し、塗装するという作業を徹底しました。

施工ポイントは漫画で表現する


床下工法別耐久試験をもとに説明書をリニューアルすることになりました。一般の説明書では誰も読まないため、施工ポイント集は漫画家の方に依頼しました。

おそらく、木材を販売するのに、ここまで商品テストや伝え方に手間暇や費用をかけたのは、小川社くらいだと思います。

昔は、大工さんから弟子に、また大工さんから施主さんへ、「木の家」について口承で伝えていました。しかし、時代と共にそういったこともなくなってきているので、小川社では、このような形で、国産材利用を広げるために様々な角度から工夫を重ねてお伝えしてきました。

こうして、試行錯誤の上、やっと、できあがったサービスですが、今度は運送に関する国の規制がはじまり、注文を受けても送れないという壁にぶつかるのでした。トホホ、、、(涙)

つづく

 


(文章)小川百合子(おがわ・ゆりこ)
小川耕太郎∞百合子社 取締役。 主な仕事は持続可能な商品の一般化のためのPR。 1998年、山一證券が倒産した年に、夫婦で起業。地域の生物資源と産業(技)と自然が循環できることをコンセプトとした持続可能な商品づくりを目指す。






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