2022.06.02

サスティナブルな5つの行動-①-

お陰さまで、小川耕太郎∞百合子社は起業して24年が経ちました。今もトライ&エラーの繰り返しですが、そのプロセスは楽しさでもあり苦しさでもあります。そのような経験を積み重ねながら、小川社なりの「自然と暮らしと産業が循環できる商品」を育ててきました。拙い文章ですが、サスティナブルな取組みについて自分の言葉でお話いたします。若い世代にも響くと嬉しいです。どうぞ、お付き合いのほど宜しくお願いします。
〇1998年9月 起業
「自然と人と暮らしが循環できる商品をつくる!」そう意気込んだ起業当時、住んでいた6畳一間のオフィス兼自宅の窓からはエメラルドグリーンの賀田湾がみえていましたが、大雨がふると山から土砂が流れ茶色の海に変わりました。


中部国際空港建設のための採石が最盛期を迎えていた頃でした。山林価格が暴落したため、経営が厳しくなり、山林を売るケースが増えていました。濁った茶色の海をみて、なぜか?やる気スイッチがはいり、「循環できる商品づくり」という形で、環境問題がジブンゴトに切り替わっていました。全く迷いもなく起業できたせいか、多くの人との出逢いもあり、一年後には未晒し蜜ロウワックスの販売をはじることができました。

サスティナブルな5つの取り組み


 

(1)第一次産業が循環できる商品づくり

(2)シンプル。だから、原料の品質が大切。

(3)地域に仕事をつくる

(4)自然塗料という選択肢をつくる

(5)ものと永くつきあう暮らし方へシフトする

花が咲いても、花の蜜は少しだけ


1998年 春
花はツボミが膨らむまでの間に、ゆっくり花の蜜をだす準備をしています。しかし、暖冬の影響により季節外れに花が開くことがあります。花が咲いても花の蜜を準備する時間が足りないため、少量の花の蜜しかださないという状況が続いていました。
ハチミツの収穫量が激減して、養蜂家の廃業が増えてなぁ。(中村誠一)  
中村さんのこの一言により、京都議定書でいわれていた「地球温暖化」という問題をリアルに感じました。


近年、イチゴやスイカ、メロンなどのハウス栽培が増え、ハウスの中にミツバチをいれミツバチが受粉をする「ポリネーション」を導入する農家が増えています。
 
上の写真をご覧いただくと、人工授粉と比べ、ミツバチ受粉は奇形が少なく大きいことがわかります。その上、糖度が高いため、高値がつきます。地域の農家にとって地域の養蜂家は大切なパートナーです。仮にハチミツの収穫量が下がっても、ミツバチを育てる過程でなにか利用できるものを原料とした商品をつくり売れば、養蜂家はトータル的に生計がたち、農家にとっても助かるのでは?


今考えると、不思議なくらい偶然ですが、当時、小川耕太郎は尾鷲内装材のアドバイザーを務めており、安全な塗料を探している最中でした。 

元製材屋と養蜂家がつくる塗料


養蜂家の副産物である「蜜ロウ」を利用した木材塗料をつくれば、彼らの副業にもなり、第一産業が循環できる商品になる!(小川耕太郎)
「自分たちで自然塗料をつくれれば、原料も製造もこだわれる。それなら誰もが安全につかえる塗料をつくろう!」


と思い立ちました。未晒し蜜ロウワックスのラベルをみると商品名の右に【材木屋とハチミツ職人がつくった】と書いてあります。元製材屋の小川耕太郎と養蜂家の中村誠一さんがパートナシップを組みつくったという意味です。 

「循環を生むワックス」というコンセプト広告


下記の画像は、2001~2002年にかけて地域の第一次産業に循環を生むワックスというコンセプトで制作した広告です。  
今でもこの広告をみると熱い想いが蘇ります。


当時は夫婦2人で月収8万で生活していましたから、あの頃の度胸を褒めてあげたいです(苦笑)。何よりも、そんなアホな夫婦を温かく見守ってくれたお客様をはじめ家族や友人には今でも頭が下がる想いでいっぱいです。






未晒し蜜ロウワックスが生まれた時代を振り返る


未晒し蜜ロウワックスの販売をはじめた時代を振り返ってみると、環境問題に取り組む
キッカケになるような大きな潮流がありました。 数ある潮流の中で2つ取り上げます。

(1)1990年 水質汚染の原因となる物質の規制 
日本で水質汚濁防止法により、木材保護剤に含まれていた 銅 クロム ヒ素などが日本でも使用禁止 となりました。 
(2)1997年 京都議定書の採択
京都議定書 とは、2020年までの温暖化対策の目標を定めたもので、先進国はその約束を守る義務があり、この条例により温暖化対策の必要性が世界的に認識されました。後に、世界各国で温暖化対策に向けたいろいろな技術や製品が開発されています。  
当時の社会状況を振り返えると、未晒し蜜ロウワックスの販売がはじめられたのも、諸先輩方の行動と努力の積み重ねの延長線上にあることに気づかされます。(クロニクル編集でみる 小川社と時代背景)



「社会的課題解決型の仕事」は、課題も多様で前例がないケースが多いため「 まずはイメージして、やってみる」です。 失敗は、思考の転換のチャンスだったり、微調整のメッセージであることも多いのです。



世界各国、日本各地でサスティナブルな商品づくりや仕組みづくりが増えています。立場や世代、事業規模の大きさ、国や地域を超えた多様な取組の結果が、持続可能な社会への流れをつくると考えています。
文:小川百合子
小川耕太郎∞百合子社 代取締役。 主な仕事は持続可能な商品の一般化のためのPR。 地域の生物資源と産業と自然が循環できることをコンセプトとした持続可能な商品づくりを目指す。 

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