2023.06.21

1話 見る庭から、暮らしを愉しむ庭へ

暮らしのモデルハウス
「白鳥さんち」との出逢い

もう数か月前になるでしょうか?InstagramのDMで「我が家の外壁です。ウッドロングエコを塗布後の経年がいい感じになってきました!」という写真つきのメッセージをいただきました。

その方の投稿を見ていると、等身大のナチュラルライフと、子育てに奮闘しながらも、暮らしを楽しんでいる様子が伺えました。


写真:三河材にウッドロングエコを塗布 画像:@dwell_aichi • Instagram写真と動画 より

さらにプロフィールなどをよくよく読むと、そのDMをくれたのは、長年お付き合いいただいている(株)イトコー様(以下、略イトコー)の広報のご担当者ということがわかりました。さらにイトコーの現場監督である夫の白鳥さんと建てた家を「白鳥さんち 暮らしのモデルハウス」として時々公開しているとのこと。

愛知県豊川市に所在する

イトコーのコンセプトといえば、、、

「家は家族の暮らしを包み込む

『器』のようなもの 

その『器』を大切につくることで、

家族がいつまでも自然の豊さを

身近に感じながら、

生き生きと暮らせる

環境を実現したい 」

というもの。

家づくりを軸として多様な事業展開をされるイトコーですが、今回は、①自然を身近に感じること ②生き生きと暮らせる環境 についてお話をうかがいました。

心地よい住まいの
第一歩は
「敷地のもつ条件を
正確に読み取る」こと。

画像:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より これから家を建てる「白鳥さんち」の土地

小川百合子(以下:百)イトコーでは、心地よい住まいの第一歩は「敷地のもつ条件を正確に読み取る」ことだとされていますが、素人の私にもわかるように教えてもらえませんか。

伊藤博昭 代表取締役)

自然の力を活かしたナチュラルな快適さを得るには「敷地を正確に読み取る」ことが大切です。敷地の読み取り方はいろいろありますが、その中の一つが、冬至でも採光がとれるようなプランを立てることです。そのことで照明代が節約でき、かつ空調代も節約できます。

百)冬至の時期の採光ですか・・・。

伊藤博昭代表取締役)
はい。冬至の太陽南中高度は約31.6度です。敷地に対して建物をどう配置するのか!が快適さを大きく左右します。

現場調査をし、Google Mapなども活用して、夏至・春分/秋分・冬至の日の入り/日の出も書き込みます。

さらに、一番寒い季節の太陽の動きをシミュレートし、1日を通して一番日が入る場所を特定し精度を高めます。この角度をもとに、どこからどこまで直接光が入るのかを確認します。

その結果、白鳥家の場合は、庭スペースはこのような形になり、小さな庭スペース(下の写真)が何か所かできました。

画像:@dwell_aichi • Instagram写真と動画 より

次に、それぞれの庭のスペースを4つの役割に振り分けます。

・駐車場
・暮らし&楽しむ庭
(アウトドアリビングやコンテナ菜園)
・魅せる庭(植栽など)
・働く庭(洗濯干し場など)

「白鳥さんち」を
上からみるとこんな感じです。

画像:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より フェンス・デッキ・外壁:三河材+ウッドロングエコ

百)庭の役割ですか~。

伊藤博昭 代表取締役)
特に「駐車場スペース」の取り方により、毎日の快適さがかわります。

今回のように手前が狭く、奥に行くと膨らむ旗竿地では縦列駐車が一般的ですが、共働き子育て世代とっては負担です。

幸い、この土地の西側に細い脇道があり、そこから並列駐車するプランができました。

これなら多くの人が集まっても駐車ができます。気軽に人を招きたいという「白鳥さんち」の暮らし方をサポートできる案だと思います。

百)脇道を利用して駐車をし、出るときは前からでる!という発想を導入するだけで、こんなに駐車スペースができるなんて!すごい。

画像:イトコーHPより フェンス・外壁:三河材+ウッドロングエコ塗装

「GOOD-TIME PLACE」
見る庭から、
暮らしを楽しむ庭へ

百)
note「白鳥さんちの暮らし」の投稿をみて驚きました。1階を板土間にし、[アウトドアリビング]ー[ダイニング]ー[キッチン]の導線を連動させ、よく考えられた大胆な設計だな~と。

伊藤博昭 代表取締役)
イトコーでは、屋外に屋根付きのアウトドアキッチンを設ける事で、気軽に家族や仲間が集えるようにした半外空間を「GOOD-TIME PLACE」と呼びます。

「GOOD-TIME PLACE」を導入したキカッケは、果たして大きなリビングは必要なのか?もっと気軽に人が集える場ができれば暮らしを楽しめると!思ったことです。

私たちがおススメする「GOOD-TIME PLACE」には2つの特徴があります。

土足のまま入れる、
屋根付きアウトドアキッチンとダイニング

画像:イトコーHPより

アウトドアキッチンの近くに
家庭菜園をもうけ、
収穫したての野菜を食べられる

「GOOD-TIME PLACE」をつくるにあたり、お客様の暮らしをきめ細かくサポートをし、プランを練るため、工務店の家づくりとは違った提案力が必要です。

そこで、家と暮らしの研究所「DWELL」とパートナーを組み協力いただいています。今回は「白鳥さんち」の希望もあり、「DWELL」にプランをつくってもらいました。

キッチンのドアを開くと、アウトドアダイニングがあります。

ウッドデッキ・フェンス:三河材+ウッドロングエコ塗り

観音木製ドアを開くと「白鳥さんち」のGOOD-TIME PLACEがあります。そして側溝の上にコンテナファーム(菜園)があります。

画像:Instagram dwell_aichiより フェンス・コンテナ:ウッドロングエコ仕上げ

キッチンで出た生ごみは、コンポストにいれ堆肥にする。また、デッキにコンテナファーム(コンテナ菜園)を設置しているため、いつでも新鮮な野菜が食べられます。

[↔野菜作り↔日々の食事↔生ごみ↔トートバック型のコンポスト↔]という循環サイクルがコンパクトに収まっており、多忙な方でも、気軽にサスティナブルライフを取り入れられます。

フェンス+外壁:三河材+ウッドロングエコ塗装 画像:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より

百)若い世代ほど「サスティナブル」とか「SDGs」などの考え方に敏感ですよね。

「白鳥さんち」の暮らしに共感する人も多いと思います。庭の考え方もナチュラルで、料理のアクセントとなる「ハーブ類」が魅せると食べるを兼ねた植栽という点もステキだな~思いました!

1階は板土間に。
気軽に外へでたくなる暮らし


百)
1階のリビング・ダイニング・キッチンが板土間の土足で入る空間になったキッカケを教えてください

白鳥)

「気軽に外へ出られるように」とウッドデッキをつくっても、段々と活用しなくなるケースがあります。

「気軽に、外へと出たくなる暮らしが実現するプラン」の提案をうけ、そのひとつが「土足ではいれる空間」でした。

1階を土足で過ごすことにより、家の中と外の境界線がぼやけてきます。それに遊びにきた家族や友人が、靴のままウッドデッキでも家の中でも過ごせるのが嬉しいです(^_^)

画像:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より

百)「20代の家づくり」ということですが、不安はなかったですか?


白鳥)私たち夫婦の場合は、夫婦ともに「プロに任せよう」気持ちが強かったです。

プランや詳細の希望は、私からDWELL川畑さんへ、会話の中で漠然とイメージをお話した程度でした。かなり漠然としていましたが、それを形にしてくれたので、旦那さんも驚いていました。

「自分達よりも経験がある川畑さんが提案してくれることは間違いないだろうし、自分が思うよりもずっと先のことを考えてくれているのを理解しているから、任せる方が良かった。全く不安や心配はないよ」と旦那さんは言っていました。

そのおかげで打ち合わせ回数を少なく進めることができました。

ちょうど、私ははじめての子どもを授かり、つわりで動けなくなった時期だったので、外出しなくてもどんどん進めてもらえたのはありがたかったです。

文章:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より抜粋

伊藤博昭 代表取締役)

これからの時代は多様な働き方が導入されます。同時に家のあり方も変化していくと思います。

「白鳥さんち」のように、普段は生活の場として、イトコーの企画をはじめイベントの時は、一階をオープン空間にすることができます。つまり、時々でも、場所貸をするという方法で臨時収入を得ることも可能です。これからの時代は、家にどれだけ働いてもらうかという考え方もでてくると予測しています。

また、1階は生活の場としても仕事場としても自由自在につかえるので、リモートワークやフリーランスの方にとっては使い勝手が良いと思います。

自宅の一部を貸すというスタイルは増えているので、イトコーのリノベーションモデルハウス(築53年)TOCOTOCO(写真下)も、コワーキングスペースと部屋貸を兼ねた性能向上リノベーションの家としてご提案しています。

このモデルハウスも1階部分は土足で入れます。

百)なるほど!確かに若い世代ほど「家は所有するもの」という観念がないし、場をシェアという発想に共感を抱く人は多いでしょうね。

ある意味、昔の家でいう「土間空間」や「公私一体型の商店空間」の進化系なのかもしれませんね。

また、近年は「ペットと暮らす家」といった犬猫の居場所を考慮した家を希望する人もふえていますので、土足でトイレやふろ場までいけるのはいいですね。

画像:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」より三河材にウッドロングエコを塗装したウッドデッキ。ウッドロングエコの安全性に関しての資料はこちらをご覧ください。

杉野(イトコー 設計))
ざっくりいうと店舗と同じ考え方ですよね。今回は1階の大部分が土足。家の中での暮らしよりも、外で過ごすこと・外との行き来がよりスムーズになる点が面白いと思いました。

仕様選びでも、一般的には住宅用・店舗用というように用途によってカテゴリー分けされています。

しかし、かえってその枠組みがアイディアを制限してしまっていることに気づかされました。

今回は、通常お店で使われる仕様のものも取り入れています。普段の家づくりでは見ない素材や手法もいくつかあります。

白鳥)

「暮らしは大きく 家はコンパクトに♪」私自身、完成見学会や暮らしの見学会で実際の家・暮らしを見学させていただきました。

そのおかげで「こんな暮らし方があるのか!」「将来、自分たち夫婦もこうやって歳を重ねられたらいいなぁ」と、

長い目で自分たちの暮らしをイメージできました!実際にみて、聞いて、住まい手とお話をする、体感することはとても大切です。私たちの自宅が一つの暮らしのモデルハウスになったらいいなと思っています。

我が家の場合は「キッチンが中心の家」「気軽に集まれる家」「犬を飼える家」を理想として家づくりを理想として家づくりを進めてきました。

(文:note「家づくり日記 /20代夫婦の家づくり」よりつづく

【インタビュー】(株)イトコー
愛知県豊川市を拠点とする地域工務店。「自然素材」「自然エネルギー」「地域の暮らしを豊かにする」をモットーに一般住宅をはじめ工場や店舗などの「企画・設計・施工まで」をおこなう。「ヒト・コト・モノ」をつなげるコミュニティ形成を通して、家づくりを通してまちづくりまで行う事業所。

【聞き手・文】(有)小川耕太郎∞百合子社 小川百合子 

小川耕太郎∞百合子社 代表取締役。 主な仕事は持続可能な商品の一般化のためのPRおよび広報担当。 地域の生物資源と産業(技)と自然が循環できることをコンセプトとした持続可能な商品づくりを目指す。

[連載BLOG]

【ウッドロングエコ×地域材】をコンセプトとした、インタビューBLOG「ウッドロングエコと人」の続きはこちらからご覧ください。

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