2022.09.22
全棟カラマツ宣言 [35blog-1話]
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ここ何年かで30~40代の設計士さんや工務店さんを中心にを「ウッドロングエコを塗った木材が自然な風合いでカッコイイ」と、設計デザインとして「自然な風合い」をお洒落に取り入れる人が増えています。
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三五工務店の新事業35 STOCK STAND
(35stock Instagramより)
もちろんビジュアル的な面だけでなく、住まいづくりを通して、持続可能な地域材利用や、地域の自然環境を整えながら成長していこという意志があるように感じています。
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今回は、ウッドロングエコをそんな風に取り入れている工務店のひとつ、札幌にある老舗の工務店、「三五工務店」を取材しました。
三代目の挑戦
フードコンサルタント
→老舗工務店へ
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今回取材をさせていただいたのは、天職だったフードコンサルタントを辞め、北海道札幌市にある老舗の工務店を継いだ、三五工務店 三代目 田中裕基取締役社長です。
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道産材にウッドロングエコを塗布
フードコンサルタントの経験をいかして自らカフェを運営し、道産材(北海道産の木材)の魅力を飲食店という場で伝えるなど魅力的な取り組みをいくつも行ってきた田中裕基社長。
そんな田中裕基社長に、三五工務店やその系列会社を通した取り組みや、社会への働きかけ、今後のビジョンなどについてお話を伺いしました。
地名からとった社名
ローカルに誇りをもつ
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三五工務店は創業60年を超える老舗の工務店。大工の棟梁であった田中藤雄さんが立ち上げた会社です。その後2代目の現会長 田中寿広さんが後を継ぎ、3代目の田中裕基さんが現社長を務めています。
「三五」というのは初期の自宅兼事務所が札幌市「北35条」というところにあったことが由来なのだそうです。シンプルで気取らない素敵なネーミングですね。地名からとった社名は、「地域に根ざす」という心意気のようなものも感じることができます。
三五工務店のスローガンは「いごこちのいい暮らしをつくる幸夢店」。「暮らす人の幸福と夢をかたちにするのが住宅である」「すべての人が家づくりを通して幸せになってほしい」という思いが込められているそうです。
工務店なので家を建てることが主要な事業ですが、北海道で今や当たり前となっている「高気密・高断熱」についても早くから取り組み、またデザイン面でも優れた住宅づくりにも熱心です。注文住宅だけでなく、企画型住宅や、リフォーム、最近では賃貸にも挑戦をされています。
「全棟カラマツ宣言」
北海道産の木への
関心を高めるアクション
「食」にフォーカスすると、全国各地で「北海道フェア」などが開催され「北海道の食材は美味しい」というイメージが既に多くの人の間で共有されています。北海道に住む人たちも、地元産の食材に誇りを持つ人が多いといいます。
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しかしそれが木材となるとどうでしょうか。
今でこそ地元の材を使おうという機運は少しずつ上がってきてはいるものの、以前は北海道の人が住宅などを建てるとしても、道産材を積極的に使おうという人はほとんどいないという状況だったといいます。
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「北海道で家を建てるならば、木材に関してももっと地産地消を進めたい、それが北海道への恩返しにもなるはずだ」
そんな田中裕基社長の強い思いもあり、三五工務店は2014年に「全棟カラマツ宣言」を打ち出し、道産材を活用していく姿勢を表明しました。
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コスト面での問題や堅くて重いカラマツの扱いにくさなどもあり、社内でも反対意見が出されたそうなのですが、コストダウンを図り、工法を変えながら、現在では構造材の100%を道産材のカラマツにすることができているそうです。
外国産の安い材を使えばコストも抑えられるけれども、三五工務店は安ければそれで良いとは考えません。道産材を使うことは、そこにある森や産業を守り、雇用を生み、技術の継承にもつながる。めぐりめぐって家を建てた人、そして北海道のためになり、環境や暮らし、仕事が持続可能なものになる。そういった大きな循環をつくっていくことにも結び付くのです。
工務店が立ち上げた
地産地消のカフェ
自分たちの住む足元を楽しく、面白く
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「家を建てるというのは、普通は一生に一度あるかないかのこと。いざ家を建てようか?となるタイミングまでは、なかなか情報に触れることがなく、敷居が高いとも言える」
そう語る田中裕基社長はフードコンサルタントの経験をいかし、三五工務店に入社して数年で、ショップや飲食店の企画からオペレーションまで提案できる「35design」を立ち上げました。現在「35stock」と「あめつち by 35stock」「35 STOCK STAND」という三つの飲食店の運営をおこなっています。
カフェの内装には、三五工務店が一般住宅を建てる際に用いる材や技法を使い、家を建てることを考えている人の参考になるような工夫しています。家を建てることの入り口をカフェにすることで、敷居の高さも克服することを試みているのだそうです。
カフェが「全棟カラマツ宣言」後、その価値観を地元の人たちと共有する一つのツールとしての存在にもなっているようです。
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(あめつちウェブサイトより)
食材にこだわり、丁寧に調理をしていけば、無駄に調味料や添加物を加えることなく、心からおいしいと思える料理ができる。
飲食業を経験してきた社長のこだわりは、食材選びから調理まで本質・本物を追求し、北海道の厳選された食材を中心に、手作りで健康的な料理の提供をしています。浦臼町産の特Aランク米「ななつぼし」、洞爺湖の平飼いの卵、函館のジャージャー牛乳…食材を聞いただけで美味しさが伝わってくる気がするのは、北海道の食のブランド力でもあります。
店内には物販スペースもあり、お米の量り売りや、岩のり、出汁、醤油などセレクトされた食材が並びます。日常的に立ち寄れる、暮らしの一部になってくれそうな存在です。
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35designが運営する3軒とも、建物の外壁木部にはウッドロングエコが使われていて、ピカピカツルツルではなく、時と共に風合いが変化していきます。木だけでなく鉄や石などの素材もできる限り道産材を使用。基本的には着色をせず経年変化を楽しむことに力点を置いているそうです。
強みは、ショップや飲食店
の企画~オペレーション迄
提案できる事
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35design は、札幌を中心に、ショップ・飲食店の企画・デザイン・施工・家具・雑貨・観葉植物の販売・インテリアコーディネートなど幅広く請け負う会社で、こちらも田中裕基さんが代表を努めています。
35designのすごいところは、機能性やデザインに優れた設計や内装を提案するだけでなく、ショップや飲食店の企画からオペレーションまで提案できるというところ。ここには社長の前職での経験が存分に生かされています。
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田舎に住んでいると特に強く思うことですが、街の中にお店が一軒でも多く存在するというのは、その街の活気や賑わいを大きく左右します。35designのこのトータルでの提案力というのは、お店をやってみたいけれど経験がなく不安、という人にとってもハードルを一つ下げることになっているのではないでしょうか。
もちろん札幌は大都会ですが、確固たる理念を持ったアドバイザーがこうして街にお店をつくっていくというのは、街の楽しさや豊かさといったものの底上げを担っているといっても過言ではないのではないでしょうか。
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ユニークなアイディアで次々と独自事業を展開する田中裕基社長。その根底には北海道への大きな愛があるのでした。それについては、こちらのブログに続きます。
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(文 : 本澤結香)
尾鷲市九鬼町にある書店「トンガ坂文庫」店主。長野県松本市出身。大学進学をに上京の後、2016年に尾鷲市に移住。2018年にオープンした古本と新刊本を扱うトンガ坂文庫を運営している。
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