2014.09.07

リフォーム産業新聞 2007年2月13日付 No.768しぜんな自然派家造り 第6回屋根に特化した工務店編 (執筆)

「リフォーム産業新聞」に、小川耕太郎が親しくしている自然派の家造りを手がける工務店やメーカーを取材し執筆した『しぜんな自然派家造り』を2006年9月から月一回にわたり10回連載。

2006年9月?2007年8月20070213rifo.jpg 

リフォーム産業新聞 2007213日付 No.768

●しぜんな自然派家造り 第6回屋根に特化した工務店編

 

 店頭でのチラシ配布で商機発見

 

 

横浜市金沢文庫に創業24年の「トンカチ」という名前の小さなホームセンターがある。その店のレジを出た正面に通称「根岸小屋」と呼ばれる8畳ほどのプレハブが建っている。

 

そこの責任者、根岸由民さんはトンカチの経営母体ジューテックの元社員で、過去には建築会社を20年ほど経営していたこともあった。ある事情で別会社の経営を頼まれ、しばらく社長をしていたが、何年かしてやめる事になってしまった。仕事を失った根岸さんに「トンカチを手伝ってくれないか?」と声がかかった。

 

トンカチのリフォーム部門を手伝うにあたり、「根岸小屋」という「リフォーム相談室」を作ってはどうだろうかとなった。つまり、トンカチはプレハブ小屋を提供し、事務機器一式を使えるようにし、根岸さんはその小屋を拠点にリフォームの相談を受付け、受注した相談は根岸さんが責任施工するというシステムである。

 

そこから根岸さんの悪戦苦闘が始まった。以前からホームセンターに出入りしている業者の仕事を取るわけにはいかない。当初、数ヶ月の販売金額は微々たるもので、収入は無いに等しかった。しかし、「これで食べていけるだろうか?」という不安はしばらくして拭い去れた。金沢文庫周辺は横浜でも高級住宅地が多い。店頭でチラシ配りをしていて60歳以上のお客様が過半数であることを実感し、ある考えが閃いたのである。そこから毎日近隣を車でぐるぐる回ってみると、家が語っていた。「やっぱりな!」確信だった。

 

戦略はこうだ。20年以上経った高級住宅地、住人は60歳以上、平均寿命からいえばまだ20年以上住むことになる。ジューテックは高級鋼板系屋根材「マックス瓦」の総代理店である。ここに、顧客と売り手のニーズとウォンツが一致を見る。

 

「屋根に特化しよう。これで一本で10年は間違いなく食べていける。」

 

(次号へ続く)

 

 

文:小川耕太郎∞百合子社 小川耕太郎

 

記事一覧を見る