2014.09.07
リフォーム産業新聞 2006年12月12日付 No.760しぜんな自然派家造り 第4回施主のニーズを引き出す工務店編(執筆)
「リフォーム産業新聞」に、小川耕太郎が親しくしている自然派の家造りを手がける工務店やメーカーを取材し執筆した『しぜんな自然派家造り』を2006年9月から月一回にわたり10回連載。
リフォーム産業新聞 2006年12月12日付 No.760
しぜんな自然派家造り第4回施主のニーズを引き出す工務店編–ドア1枚からはじめる、こだわりのリフォーム–
お施主さんは家のドアをどのようにして決めるのだろうか?工務店さんから進められるままに?メーカーのカタログから?そもそも、お施主さんはドアになど興味が無いのだろうか?安ければ良いのだろうか?それでは、工務店さんはどのようにしてドアを選んでいるのだろうか?やはりメーカーのカタログから?オリジナルのドアを作っているところもあるだろう。杉やヒノキを使って、あるいはシナベニアなどで・・・。でも、リフォーム例などで「いいなー」と思うドアを私は見たことが無い。
いずれにせよドアは決まり、家に取り付けられ、ある空間への出入り口として使われることになる。スチール製玄関ドア、寝室へのフラッシュドア、リビングへのガラスの付いたドア、知らぬ間に値段と機能だけでどこも同じようなドアが取り付けられているのではないだろうか。
今回ご紹介するのは日光に住むドア作家・小坂憲正さんである。まずはホームページを観て頂きたい。すごい存在感、そのドアを開けたらどんな空間があるのだろうと空想せずにはいられなくなる。美容室の回転ドア、居酒屋の入口等を観ると私ならそのドアだけでワクワクしながらお店に入ってしまうことだろう。彼は今までに33の作品を製作しているが一つとして同じ物はない。環境や住む方の家族構成、店舗の場合どんなサービスをする場所なのかなどを考え、扉のイメージ作りから入り、一ヶ月も考え、イメージが出来上がったらそのイメージに合う木を探し始める。古木であったり、流木であったり、時には朽ちた木を使うこともある。
彼は「その木を最大限に生かし、息を吹き込むような感覚で製作にかかります。するとどんな木でも生き返り、本来の表情を見せます。更に鉄、陶器、ガラス幾何学模様などが組み込まれ、塗装、焼き印を入れて完成となります。」と製作過程を説明している。また、彼のホームページには「気」「感覚」などの言葉がよく使われていて、作品作りにのめり込み、集中している様子がよくわかる。そんな彼の姿勢や集中力が作品に存在感を与えているのだと思うし、写真だけでも魅力を感じるのだろう。(次回に続く)(文:小川耕太郎∞百合子社 小川耕太郎)