2022.04.02

「仕上げは自らの手で」 URBAN OLE ECOPARK の手作りキットと蜜ロウワックス

「小川社の未晒し蜜ロウワックスを仕上げに使っている木工のブランドがあるんだよ」
と小川百合子さんに教えていただいたのが、カトラリーや食器などのハンドメイドキットなどを中心に展開する “URBAN OLE ECOPARK” 。

早速ウェブサイトを見に行くと……まぁなんて素敵なのでしょう!

URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより

シンプルで洗練されたパッケージと、木工製品の数々。写真も格好良くて、隅々まで目の行き届いたデザインがとても素敵です。

BUTTER KNIFE WHITTLING DIY KIT
(URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより)

手作りキットは、スプーン、フォーク、コーヒーメジャー、お皿にパチンコやパイプにハンドミラーまであります。自分用はもちろん、プレゼントしても楽しく、もらうのも嬉しい。

魚つりゲーム 5.マンボウ
(URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより)
OFUDA STAND(S) ROCK BLACK
(URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより)

その他にも、木でできた魚つりゲームや一輪挿し、お札スタンドなんていうものも。ウェブサイトを見ているだけでもわくわくしてしまいます。

楽しい商品もたくさんあって気になることもたくさん!ということで、ブランドの歴史や取り組み、商品の魅力などについて URBAN OLE ECOPARKの元家さんにお話を伺いました。

URBAN OLE ECOPARKのはじまり

URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより

URBAN OLE ECOPARK は大阪を拠点に、店舗内装や什器製作などを行うstandardworksが2012年にはじめた雑貨ブランド。本業で出る木材の端材がもったいなく、どうにかできないか?というのがきっかけで、発起人の寿野さんがスタートさせました。その後、寿野さんの知人であった元家さんが今から5、6年前に参加して今の体制になったのだそうです。

林業で栄えた尾鷲においても、端材の利活用というのは何かと話題にあがることが多いのですが、こんなに素敵な商品に生まれ変わらせるというのは、広くデザインの力を感じます。

ハンドメイドキットの木のブロックに関しては、NPO法人を介して福祉作業所に依頼をしているのだそうで、この商品を買うことが作業所の方々の仕事を生むことにつながるというのが、また素敵な一面。

製造はすべて日本国内で、木材に関しても「マイパイプキット」に使われるブラックチェリーを除いて、すべて国産材を使用しているというところにもこだわりを感じます。

未晒し蜜ロウワックスとの出会い

URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより

手作りキットはすべて国内生産、そして木材もほとんど国産のものを使っていることもあり、蜜ロウに関しても日本製のものをと探したものの、当時は中国産の量り売りがほとんど。そんな中、インターネットでたどり着いたのが小川耕太郎∞百合子社のウェブサイトだったそうです。

手作りキットの仕上げに使いたい旨を問い合わせをした際の、とても丁寧な対応が印象的で、お箸やスプーンなどに使うにはどのタイプが適しているかなど色々と相談し、それをきっかけに取り扱いを決めたのだとか。

その後もURBAN OLE ECOPARKのお客様からの問い合わせに関して、使っている原料や加工の工程などについても詳しい説明があり、それによってお客様も納得してくださったようです。そういったこともあり、手作りキットにも安心して使っているということでした。

また、以下の点も小川社の蜜ロウワックスを選んだ理由なのだとか。

・安心安全な素材のみで製造していること
・ものを大事に永く使うことを目的とした商品作りをしていること
・職人さんの素晴らしい技術を継続させ、地域活性化への貢献や、社会や環境に配慮する取り組みをしていること

商品の良さだけでなく、その会社の理念に共感できるか。ものを選ぶ上での重要な基準の一つになってきているように思います。そうやって共感する企業同士がつながって生まれたのがこの手作りキットなのですね。

海外でも愛される URBAN OLE ECOPARK

URBAN OLE ECOPARK のInstagramをみていたら、パリのマレ地区にあるMERCIというお店での取り扱いが始まったという投稿が!それから過去のブログを読んでみると、すでにドイツ、イギリス、フランス、台湾、香港などたくさんの国に商品を卸しているとのこと。小川社の蜜ロウワックスも一緒に海を渡っているんですね。すごい!

URBAN OLE ECOPARK のパッケージやウェブサイトなどは、英語とのバイリンガルでの発信をされています。ということはブランド設立時から海外進出も視野に入れていたのかな?と思いきいやそういうわけではなく、SNSの発信を始めてから海外からの問い合わせが増え、それから作り方なども日本語と英語の併記にしていったのだそうです。

確かにこの素敵なコンセプトとパッケージの手作りキットが、国に関係なく幅広い人たちに受け入れられるというのはよく理解できます。

作る過程でたくさんの感情を経験する

「仕上げは自らの手で」 がコンセプトのURBAN OLE ECOPARK。改めて商品の魅力について伺いました。

【作る過程でたくさんの感情を経験すること】

削る苦労や大変さ、怪我をしないよう注意しながら刃物を扱う集中力、思った以上に綺麗仕上がった時の感動、作る楽しさ、もう直ぐ完成するときのワクワク、蜜蝋を塗って完成した瞬間の充実感、達成感などなど、、様々な感情が経験できます。

【完成したものは使い捨てではなく、メンテナンスをしながら永く愛用できること】

自分で時間をかけてつくったものは、買ってきたものとは全く違う愛着が湧くはずです。時々手入れをしながら「ものと永くつきあう暮らし」を提案している小川社とも通じるところがありますね。

【商品に使う資材等は、できる限り自然に還る素材を使用】

仕様上やむを得ないものを除いては、プラスチックなどをなるべく使わず、環境負荷の少ないものを選んでいるそうです。日本国内だけでなく海外で人気の出る一つの大事なポイントなのかもしれません。

【自由な発想で自由につくる】

作り手ができるだけ自由に、思うままにつくってほしい。そんな意図もあり、商品の説明書にはあえて形見本をつけていないそう。URBAN OLE ECOPARKのブログには、購入者が実際に作成した作品が紹介されることがありますが、本当に人それぞれに様々な形に仕上げていて、見ているこちらも楽しくなります。

自分用にも、大切な人へのプレゼントにも

MASU WOODEN KIT BLACK
(URBAN OLE ECOPARK ウェブサイトより)

URBAN OLE ECOPARKの手作りキットは、プレゼントとして選ばれることも多いそうなのですが、コロナ禍で家にいる時間が増えたことや近年のキャンプブームの影響もあり、自分用に買われる方も多くなってきているそうです。

私自身はキャンプにあまり馴染みはないのですが、焚き火を囲みながら木を削るなんてすごく気持ちよさそう…!自分で作ったカトラリーで食べるキャンプ飯はまた格別なのではないでしょうか。

URBAN OLE ECOPARKのこれから

KYOTO exhibition への出店の様子
URBAN OLE ECOPARK blogより

現在でも毎年様々な展示会などに出展をされていますが、今後も最低1回は展示会などに出展し、より多くの方に商品が届くように活動をされるとのこと。今はまだ難しい状況が続いていますが、海外にも気軽にいけるようになれば海外の展示会でも出展を考えているそうです。

新商品については何か良いものが浮かべばまた登場する予定もあるとのこと。(すでに素敵な商品ばかりですが、、)これからの展開もとても楽しみです。

このあと実際にURBAN OLE ECOPARK の手作りキットに挑戦した様子も記事にしてみましたので、是非こちらのブログもご覧ください。⇨

URBAN OLE ECOPARK の手作りキットで木工の楽しさを知

(文 : 本澤結香)
尾鷲市九鬼町にある書店「トンガ坂文庫」店主。長野県松本市出身。大学進学を機に上京の後、2017年に尾鷲市に移住。2018年に古本と新刊本を扱うトンガ坂文庫をオープンした。


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