終わりがみえないのが面白い・・・尾鷲市無形文化財 ぬし熊[尾鷲わっぱ]

nushikuma_bana.jpg梅雨に入り、久しぶりに尾鷲らしいまとまった雨が断続的に降り続け

数日で6月の降雨量に近づくほどの激しさだった。。

全国でも有数の多雨地帯である尾鷲のひのきはその過酷な激しい雨にも耐えうるほど油が多く粘りが強い材になった。

その尾鷲ひのきを使いわっぱを4代にわたり造り続けるのが尾鷲の向井で工房を構える「ぬし熊」の4代目世古効史さんだ。


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「久しぶり」

とお邪魔すると少しとぼけた感じでいつものように冗談をいいながら話は始まった。

ぬし熊の世古さんはわっぱを造り続けて33年にもなるのに職人さん特有の厳しさや

ピリピリした雰囲気は全く感じられない。


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▲スタッフの竹村が2代にわたって使った尾鷲わっぱ


一緒に話を聞きにきた竹村が2代にわたって使った古いわっぱを取り出し

塗り直しできないか訪ねるとしばらくそのわっぱを見ると

nusikuma_takemura02.jpg「▲「こりゃとーやんのやな。このこのわっぱの底の作り方がそうだな。」

と嬉しそうに答えた。



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「今日はいつもみたいに冗談ばかりでなく少しわっぱの事を教えてください」

とまじめに切り出し、

「屋号の由来から聞かせてください。ぬし熊というくらいだから最初は塗師屋さんだったん?」



「そうさな、最初は塗師屋から始まり初代がわっぱの作り方を教えてもらい

わっぱの制作から塗りまで一貫して始めたらしいね。

自分も高校卒業のときは跡を継ぐ事など考えていなくて仕方なく和歌山の漆器製造のところで4年間働いたんだけどここで塗りの事を徹底的に教えてもらって

後々役に立ったね。

塗りは奥が深いね。

何回と作業してもわからない事が多い。

和歌山の信頼してる塗師屋さんと夜分に話し込んでしまう事も多いんさね。」

ぬし熊のわっぱは側面の湾曲の板目が非常に美しく、漆を何回も重ねた上から

透ける木目が使い込んでさらに冴えるから不思議だ。

「やっぱり材料選びは重要?」

「そうさね。いかにいい材料を選んできっちりと材をとる事が作業で一番重要さね。」




nushikuma_koutei.jpg尾鷲わっぱは45にも上る作業があり、完成までに1月以上かかりすべて一人で材の選択から塗りまでこなす。特に漆塗りの作業は集中するので夜更けにする事も多く。気づいたら朝になってたということもあるそうだ。

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百貨店などに出店する事も多く、日本全国のわっぱ職人やその作品を見る事も多い世古さんはやはり尾鷲のひのきが一番素晴らしいと思うようになってきたそうだ。

「やはりそのつやと粘り強さなんかいな?」と聞くと

「そうさな。塗る前でもそうなんだけど、漆を重ねる事でさらに引き立つよね。

いい材料を手に入れたいんだけど。元々尾鷲は柱材をとる製材さんが多いから

側面に使う板目の板や底の柾目の板をとる事が難しいから苦労するさね。」

————–次回に続く————–

(インタビュー 小川耕太郎∞百合子社 藤井大造)

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