2019.08.19
復活! 山頂へいき方位盤を設置。 by 天狗倉山まるごとプロジェクト
地元で愛される天狗倉山
おわせ市街地からも見上げられる天狗倉山(標高522m)。
地元でも愛されるおわせのシンボル的な山で
地元の山愛好家の人たちは
ジム感覚で登られる人もいます。
尾鷲の人は日常会話のなかによく「山の話し」がでてきます。
どこか葛飾北斎の
「富士三十六景 尾州不二見原 (フジサンジュウロクケイ ビシュウフジミガハラ)」
の情景を匂わせるような山の話しは、
樽の丸い枠を通してみえる富士山の絵のような感じ。
暮らしと山の距離感が近い気がします。
(出典:山梨県立美術館http://www.museum.pref.yamanashi.jp/3rd_fujisan_01fugaku.htm)
復活!天狗倉山 山頂にある方位盤の修復
(資料:尾鷲観光物産協会)
白っぽくみえる山頂の巨石、
そこに約40年前に設置された方位盤があります。
風雪に耐え忍んだ劣化した方位盤は
サビを落とし下地が塗られ
尾鷲トレイユ+尾鷲の島々なども加え
ブラシュッアップされた方位盤が制作されました。
制作は、尾鷲観光物産協会が共同研究契約を結んでいる
「三重大学地域拠点サテライト東紀州サテライト・学生美術サークルの学生さん、
錆落とし及び下地塗装をされたのが レストア西村(板金屋)の西村さんです。
今年は、熊野古道世界遺産登録15周年を迎え
古道の一つ「馬越峠(マゴセトウゲ)」から続く
天狗山の魅力ポイントが加わり
ここで立ってみえる山々(尾鷲トレイル)、
尾鷲湾の島々の名称も方位盤に加わり、
この山頂から方位盤をみながら
眺められるようになりました。
鉄製の方位盤を山頂まで運ぶ
方位盤の重量は約12キロ。
参加者全員で順番に背負い、
急峻な道をのぼり山頂まで運びました。
熊野古道は参拝の道でもあり生活道でもあったので
道路がない時代は、子どもが発熱したとき
(1、2歳くらいの子どもが12キロぐらいなので)
子どもを背負いながら歩いた親もいるだろうな。
体験程度ではありますが
娘も背負いました。
ここから尾鷲の町並みが見渡せます。
山頂からは尾鷲市街、尾鷲湾、熊野灘、八鬼山、矢ノ川峠、高峰山などが一望できます。
更に大石をはしごで登れると頂上
紀北町の銚子川の向こうには、吉野熊野国立公園・大台ヶ原の峰々が見渡せます!
今回のメンバーの中で、約40年前に方位盤が設置したことを知っている方がおり
今回の修復をとても喜ばれており、当時のお話も伺うことができました。
改めて、天狗倉山は地元に愛される山なんだなぁと思いました。
子どもに体験させたかったこと
親子で参加した理由は
反抗期にはいった娘に、
主人が取り組んでいるCSR活動を少しでも見せようとおもったからです。
(父親本人は未だ仲良し親子と思っていますが(笑))
しかし、山頂までたどりつくのにゼイゼイで
なにひとつ話すことができまず’(苦笑)
でも、三重大生美術サークルの学生さんのお話を聞いたり
ガイドの方々、尾鷲藪漕隊の方々など
たくさんの人をみて
何か感じてもらえたと思います。
また、中学生になったのでCSRについても触れてもらえれば
と考えていました。未だ、CSR=キレイごとと思われがちですが、
近年、環境汚染、資源エネルギー問題、自然災害をはじめ
児童労働など人権問題も含め
人類社会の持続をおびやかすような
要因がハッキリと表れています。
そのような環境下の中
事業所として存続していくためには
社会的責任(CSR)を踏まえ
経済活動をすることが必然な時代になっています。
例えば、熊野古道の山道は急峻な山道が多く
安全な登山道として整備するために
所々にこのような杭が打たれ、滑りそうな箇所にはロープが張られています。
これらは、尾鷲藪漕隊の方々がボランティアで
整備されています。
「環境と観光」を共存
には、このような道普請の作業が必須です。
CSR活動の支援先の方々から
開発ではなく整備という方法で
観光化により自然環境が維持できるという
方向性もあることを気づかせていただきました。
例えば、
蜜ロウワックスはミツバチが自然からの贈り物を通し
蜜蝋を生産し、その生産した蜜ロウを生かし
私共がワックスとして生産できますが、
大元である樹々の花が咲かなければ
蜜ロウは収穫できず蜜ロウワックスもできません、
小川社の目指すCSR活動は
自然の一部でも元に戻す経済活動として
継続することなので、ボランティア団体さまの
積み重ねにより、自然からの恩恵が受けられていることを
知る機会になればと思った次第です。
岩屋堂の清掃活動
お昼は山帰来でカレーをいただき休憩し、岩屋堂のお参りへいきました。
天狗山まるごとプロジェクトの一環の中には
「岩屋堂の再生」があり、岩屋堂の修復と同時に
毎月18日に常壺寺のご住職がお経をあげるといった
祈りも復活しました。
読経の前に
沢から水をくみ
花瓶の水をかえ
聖水とコハナを供えます。
石仏などの埃をはらい
道を清掃し準備をします。
西国三十三所名所図会にも登場する天狗倉山には、
本尊の聖観音石像と33体の観音石仏が
たたずむ霊場“岩屋堂(尾鷲市有形文化財)“が
巨岩の影にひっそり佇んでいます。
昭和初期には毎月1日と15日には祭礼が行われ、
3月18日の大祭では本尊の御開帳がありました。
やがて時代と共に訪れる人が減少し、建物が老朽化していました
そんな中でも
地元の方々が祈りの場の
灯を消さぬよう維持されていたようです。
▲2017年より 尾鷲観光物産協会さまを中心とした
天狗倉山まるごとプロジェクトがはじまり、
その中で岩屋堂再生プロジェクトを立ち上げ、
祈りの場の修繕と再生をされました。
財政がひっ迫する中
人と人のつながりの中で
地域の人やボランティア団体をはじめ
各団体に声掛けし
プロジェクトを進行させ
今もなお現在進行形というところが
このプロジェクトの最大の魅力だと思います。
ユネスコが目指す
歴史、文化、自然。そしてそこで育まれたこころを
未来へつなげる教育とは?
話しは飛びますが
この夏、家族旅行で
聖地 斉場御嶽(セーファウタキ)へいき
ガイドをしてもらい歩きました。
斉場御嶽は、琉球王国時代には国際的な祭事も
おこなわれてきた聖地です。
沖縄の人々の信仰、生活、自然への敬いが受け継がれています。
日本各地域で継承された祈りの場は
長年、地域が大切にしてきた文化や暮らしや自然などから
普遍的価値を築いてきたことを
やんわりとでも触れたかと思います。
というのは、昨年、学校行事で
ユネスコのスピーチを聞く機会があり、
娘は代表で感想文を書くことになったのですが、
ユネスコのメッセージがよくわからず
調べれば調べる程悩み、
要領が悪いのか?悩みすぎなのか?完璧主義なのか?
何日もなやみ、最後の2時間で感想文を書きなおし
提出したことがありました。
悩んだ点は、、、、ユネスコの活動が目指す
「歴史、文化、自然。そしてそこで育まれたこころを未来へつなげる教育。
「こころの中の平和のとりで」その礎を、
守り育みつづけることを私たちの使命として、
活動に取り組んでいます。」
というところだったようです。
娘から相談されましたが、
私もユネスコ=世界遺産を認定する機関ぐらいしか知らず
活動の根底に「こころの中の平和のとりで」があったなんて知りませんでした。
しかし、よく考えてみれば
長年継承された熊野古道も爆弾を落とされれば
跡形もなくなります。そして保管された資料も跡形もなくなります。
文化や自然の大切さを未来に継承する
世界遺産活動・未来遺産運動を存続するには
平和であることが大前提となります。
多様な文化や自然や暮らしを
互いに学び、理解し多様性を尊重しあうことは
平和への一歩ということを子どもから教わった次第です。
娘は親につきあわされたと思っているとは思いますが
夏休みに貴重な体験ができました。
猛暑の中、前日に山道の草刈までしていただき
本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
(有)小川耕太郎∞百合子社 小川百合子