2018.10.31
「大丈夫じゃない」と「大丈夫」の間には。(後半)
山本です。熊野 中村養蜂場さんのお話、第4弾です。前回の『「大丈夫じゃない」と「大丈夫」の間には。(前半)』の続きです。
蜜ロウワックスの製造・充填作業の間も、キスズメバチ、オオスズメバチ、他の虫たちも働いているのか遊んでいるのか、あちらへこちらへと飛び回っています。虫たちは人間に関心を寄せることもない。
一斉に桃色の花を咲かせる大きな芙蓉をバックに自由にかつ自在に飛び交うスズメバチ達。
眺めていると、不思議なことになにやら幸せな気分にまでなってきます。
その時、ふと気がつき驚きました。昆虫図鑑を開くのでさえためらうほど虫が苦手な私が、刺す虫がこんなに多く傍を飛び回っているのにも関わらず、避けることも逃げることもなく、ただそこに小さな彼らが元気よく飛び回っているのをゆったりと眺め、嫌悪するどころか目の前の風景を愛おしく思っている自分に。
「大丈夫じゃない」と思っていたことが、実際に体験してみたら「意外に大丈夫だった」
に変化するその間に、何があったのだろう。秋晴れ。芙蓉の花々、木々。囲うものも無い、思わず空を仰いで深呼吸したくなる所。おおらかで健やかな人々。虫も鳥も動物も人間も、相手がただそこにいるということを認めるということを意識するまでもなく認め、ただその場を共有しあっているということ。
一度目の充填を終えたばかりの蜜ロウワックスがまだ固まりもせず、真新しいスチール缶の中で静かに輝いている。
見上げれば青い空に白い雲。そんな熊野 中村養蜂場さん訪問の一日でした。(弊社の未晒し蜜ロウワックスは、なめらかな表面にするため、二段階に分けて充填しています)(文:山本)