2018.08.22
VOL.2 『柔軟なアイディアや情報交換をしながらうまれる空間づくり』DIYリノベで人がつながる
柔軟なアイディアや情報を交換し、オフィス環境を共有することで生まれる相乗効果として注目を浴びる『コワーキングスペース』。今や空き家対策の一環としても注目されています。
3つの掃き出し窓がある元印刷工場の空間を活かし、ほぼ素人でリノベーションをしたコワーキングスペース『我楽田長屋』はIT事業の将来を見据え
『これからの事業は、自社だけでなく、コワーキング的に色々な人がはいってもらいたいという考えがありました。』
最近、このようなスタイルでリノベされる方も増えていることから、小川社の代表 小川耕太郎がボノ(株)横山代表取締役にお話しを伺いにいきました。
『実行するにあたり、神田川アートブロッサムの一人の建築士
金谷さんが加わりました。金谷さんは子どもを保育園に送迎するときに、よく我楽田ギャラリーにより夢を語っていました。』
『金谷さんは、知人の旅する大工のいとうさんを呼びました。個性的な顔が集まってきつつあったので、私たちは、今回のリノベーションでは、ワークショップ形式でゆっくりDIYリノベーションをすることで、柔軟なアイディアや情報を交換しながら生まれる空間をイメージし、段取りをとっていきました。』
金谷さんは、通りにむけた3つの掃き出し窓を『3つの玄関』として生かし、通りからみても何か気配を感じ、オープンで入りやすい外観を設計しました。
(1)ウッドデッキと窓枠は木にする
比較してみると分かるかと思いますが、エントランスにウッドデッキ、窓枠に木をつかうことで、入りやすいさがでてみませんか?人は本能的に自然なものに惹かれる傾向があるように思います。経験値による勘のようなものですが、ビッグサイトなど人工的な空間でおこなうイベントの時に、木もちeデッキだけでブースをつくるとなど驚くほど人が入ってきます。
元印刷工場の物件に「ウッドデッキをつくりたい」と相談された小川耕太郎は、ウッドデッキの床下の高さがとれないことから、栗材の木もちe-デッキをおススメさせていただきました。国産の栗は、線路の枕木や豪雪地域の合掌造りの外部の柱などにも使われるほど強いのです。
ウッドデッキには、緊張をほぐしながらやんわり結束させる力があります。
(2)窓ガラスを透明にかえ、シンボルツリーを植樹し
入りやすい玄関に
(3)DIYを通して人と人がつながる
ウッドデッキをつくるときは、ワークショップ形式で参加者を募り、旅する大工いとうさんを先頭に、みんなでつくられました。
「大工いとうさんを囲み作業BAR」というイベントも開催され、いとうさんの仕事仲間である建築系の方々が入れ替わりで我楽田ギャラリーで食事したり飲んだりされました。
内装も、建築士 金谷さんの設計案を元にほぼ素人でDIYでリノベーションされました。空間を区切る『我楽田格子棚』を設置し、空間の奥は我楽田工房のオフィス、通りの前面はクリエーターが活動する場として、シャアオフィス兼ショーウィンドウ的使われています。
栗材でつくったウッドレンガのような壁があります。この材は、みんなで栗デッキをつくるさいに、ケアミスで栗材の破材がでてしまい、その破材を活かし新たなカタチに生まれたものです。壁材は、ウッドデッキのように目透かしをとっており、そこに板を挟めばディスプレー棚になります。
(5)地域のランドマーク的存在へ
我楽田ギャラリーと我楽田長屋は、早稲田大学周辺のランドマーク的存在になったようです。以前は印刷工場だったため、フォークリフトしか通らなかった道は、今や早稲田大学生の通学路や保育園児の散歩コースにもなっています。また時には、地域のコミュニティースペースの場として解放されイベント会場にもなります。単なるシェアオフィスではなく、街の人達がこの建物をずっと気にかけている様子が伺えます。
DIYによるリノベーションを導入したことで、常に人があつまり何かをしている様子がみえるたのも、街の人にとっても『入りやすい』『話しやすい』『アイディアがでやすい』場づくりの方法論だったように思いました。結果的にこのリノベにより、我楽田工房を運営するボノ(株)さまの広告効果もあったようです。
急速な人口減少が進む中、「エコ建材」を扱う小川社は、今後はどのように『国産の木』を提案していくのか手探りの状態です。DIYリノベーションにより生まれたコワーキングスペースならではの木づかいには、驚かされました。『建築を建てない建築家』というキーワードが話題になっていますが、今ある空き家という資源を、ある程度の予算で、最大効果を得たのは『人と人のつながり』というエネルギーではないかと思います。
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