2017.01.27

第11期、12期寄付先の活動報告 チーム日光の道しるべNO.5–行動こそ未来の力(東日本大震災復興支援)

行動こそ未来への力。


しかし、それにしてもと、いまなお思う。どうして、いったい、あれほどまでの悲惨な大災害が起こったのかと。シャーマンのアシリレラさんは、アイヌの神、カムイに向かって「あなたが怠けて居眠りをしていたから、こんな大災害になってしまったのではないですか。しっかりと守ってくれないなら、私たちも神様をお祀りすることを止めますよ」とカムイチャランケ(神への直談判)を挙げたと語った。

 

 

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南三陸町歌津では、港、橋、駅、商店、公民館、そしてほとんどの住宅が破壊され、死者、不明者は百人を超えた。そして住民のほとんどがいまなお避難生活や仮設住宅暮らしだ。


完成式典に参加した地元の女性は「地震で茶碗が割れ、家具が倒れた。片づけをしてたら津波が来るというんであわてて逃げた。あんな大津波がくるとは夢にも思わなかった。せめて位牌と貯金だけでも持ち出していたら・・・」と口をつぐんだ。「もう二度と思い出しなくねぇ」と押し黙る被災者もいた。


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「おだづなよ(ふざけんなよ)津波 南三陸」とジャンパーの背に刻み込んだ千葉会長は、ユーモアと心意気の人だ。「今レディーガガが人気げっども、レディーガガならうちにもいますよ。レディーかかぁが」と笑わせ、ジルバを軽やかに踊ってみせた。


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震災直後、千葉会長は船を守るために沖へ向かい、高さ15mにもふくれあがった大波も乗りきったが、翌朝、湾上からの光景に声もなく立ち尽くす。そして増築間もない自宅と親の代からの牡蠣の養殖場、装置のすべてを奪われてしまった。



「日本一の校歌」と歌津小学校校歌を熱唱した生涯学習課の及川課長は「みんなまだ、気持ちの整理が全然ついていないんです」と被災者の心情を代弁した。津波に呑まれながら、雨桶にしがみつき命拾いしたTさんは、もし心臓の疾患に倒れても、それも本望と毎日のように建築現場に手伝いにやってきた。

 

 

皆が、自宅や仕事場や財産、ふるさとの地、思いがつまったかけがいのないすべてのものを、津波に引きちぎられてしまったのだ。

  

落成式の打ち上げで突然、「ハッピーバースディー」の歌声が上がった。無邪気な様子でケーキのろうそくを吹き消す小学校5年のT君は、登校前と放課後にやってきては土ブロック作りの手伝いをしていたという。


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T君のお母さんもまた、南三里町の防災課で最後まで職務をまっとうし、津波の犠牲になった。その小さな胸で、耐えられるはずもない痛みを耐えるしかないT君の悲しみに、いったい、どう寄り添うことができるのだろうか。自分の命以上に守りたかった命を津波にさらわれ、そのことでいまも自分を責め続けている被災者へ、かけられるどんな言葉があるというのだろうか。

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代表の小川耕太郎をはじめ小川耕太郎∞百合子社のスタッフも、南三陸町歌津を何度か訪ね、心ばかりだが手伝いに加わった。寒さに指先がかじかみ、足腰がこわばり、おなかがすいても、チーム日光のメンバーの陽気な笑い声と冗談にいつも背中を押された。



メンバーの息の合ったチームワークと段取りの良さが、被災地でどれほどの経験を彼らがつみあげてきたかを語っていた。「自己を犠牲にし、なぜここまでやれるのか」晩の酒の席でそう問いかけてみた。「この災害を決してひとごとにしてはいけないんだ」と誰かがぽつりと答えた。

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▲栃木銀行日光支店にて活動報告パネルを展示


「被災者の痛みをどれだけ自分の痛みとして感じられるか」、チーム日光はいつだってそのことに誠実だった。シンと底冷えのする現場のすぐそばに、彼らの寝泊りするテントがバラバラと不揃いに並んでいた。バタバタとテントに吹き付ける木枯らしの音を聞きながら、一日酷使した身体を寝袋に横たえ眠りにつく、彼らの覚悟を思わずにはいられなかった。


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(写真:右:千葉会長 左:チーム日光代表小坂憲正氏」

千葉会長は語った。

「電気も水も食べ物も何もないあの真っ暗闇の中、寒さと不安と恐怖で押しつぶされそうだった。皆が押し黙り、口を開くものは一人もいなかった。ようやく焚火に火が灯った。そのときの温もりと明るさが忘れられない。あんな絶望のどん底にあっても希望はあるんだと知った。火が灯って、周りのみんなの顔が見えたとき、ぽつり、ぽつりと話す声がよみがえっていった。チーム日光はあのときの火なんだ。すべてを失った俺たちに、負けるな、もう一度立ち上がれって、声と行動で勇気を与えてくれたんだ」(続く)



レポート:小川耕太郎∞百合子社 竹村裕二


◆災害復興支援

 小川耕太郎∞百合子社ではその地の人と暮らしを支えてきた山や自然に目を向け、支援活動を行っています。2011年-2014年にかけボランティア団体「チーム日光」に支援させていただきました。寄付先の活動内容としてご報告させていただきます。



◆第11期、12期の売り上げの0,3% 11期は台風の災害により毎年支援させて頂いた植林活動の林道が復旧作業にはいったため、11期は売上の0.3%全額、12期は一部を寄付させていただました。毎年計上する寄付金額につきましてはH.Pをごらんください。


◆寄付先:チーム日光 東日本大震災復興支援活動

小川耕太郎∞百合子社では、利益があるなしに関わらず、毎年売り上げの0.3%を山林維持循環を目的とした活動に寄付しています。この度、この取り組みが10年目に入ることから、寄付先の活動をまとめています。このような活動ができるのも、お買い上げいただいた皆様と商売を通してご縁をいただいた皆様のお蔭です。皆様には心より感謝を申し上げます。  有限会社小川耕太郎∞百合子社



◆詳細 東日本大震災復興支援の活動報告ブログ「チーム日光のキセキ」をご覧ください。

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