2012.06.21

2012年06月21日付 毎日新聞地方版 チーム日光 小坂代表が毎日新聞 栃木版 「会いたい・聞かせて」に掲載されました。

20120621毎日新聞地歩版 「会いたい・きかせて:被災地に竪穴式集会所建設 チーム日光代表 小坂憲正さん.jpgチーム日光 小坂代表が毎日新聞 栃木版 「会いたい・聞かせて」に掲載されました。

 

◇施設は信頼感の結晶 小坂憲正さん(44)

東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町歌津地区で支援活動をしていた、日光市のボランティアグループ「チーム日光」が、地元住民と建設していた「竪穴式」集会所「歌津迎賓館『鍵』」が先月、完成し引き渡した。直径約10メートル、高さ約4メートルの前方後円形は縄文時代のスタイル。全てを津波で流され、一からのスタートとなった歌津に「原点回帰」のライフスタイルを掲げ、絆を生み出した代表の小坂憲正さん(44)に聞いた。【浅見茂晴】

 

—建設に約半年。一段落つきましたね。

 「竪穴式」は三内丸山遺跡(青森県)でイメージしました。日本古来の家の姿なのか、直線的でない、囲われた「円」は「縁」につながる。また、縄文の時代と同じように自分たちの力で、手で作ることに意義がありました。

 

機械でできなくても人の力を合わせれば思いも通じて形になります。建設中もテントで生活し、住民目線で取り組んだので、住民も建設に協力してくれた。活動に共感してくれた知り合いが知り合いを呼び、各自ができることをやりました。それまでの泥出し作業などを評価してくれた歌津の人々の協力もあり、思いが重なりました。そうして建設に参加してくれた人は延べ約1500人です。

 

名称の「鍵」には、地区の交流拠点であり、震災を忘れないような施設にとの願いを込めています。信頼感が結晶したので震災を乗り越えられるのではないかと思います。

 

—それにしても結集力、結束力は強かった。

 

震災を契機にできた「縁」ではなく、これまでの付き合いの延長線上にあった「自然体」です。NPO(非営利組織)とか団体をつくったわけでなく、有志が集まっただけ。救助活動で活躍した警察や消防、自衛隊も同じ人間。私たちにもできることがあるのではと思いました。

 

昔は家もみんなで建てたし、困っている人がいれば、助けにいった。コミュニティーのいたわりがあったのではないですか。一人でなく、全員がよくなるためには「行政がやってくれない、国が何もやってくれない」ではなく、やらなければ何も前進しないと思います。

 

企業や各種団体が被災地で、多くの支援物資を配っていました。地元ニーズと合わず、捨てられたケースも多く目にしました。だから、私たちは支援物資を配るのではなく、現地で一つ一つ、できることを約束し、信頼感を互いに持てたことが良かったのではないでしょうか。

 

—今後は

 それぞれが仕事を持っているので、いったん戻りますが、「いざ」と言うときにはいつでも集まれます。もう3・11以前には戻れません。国の経済成長のためではなく、みんなの暮らしが良くなるように努めたい。そのためには、小さくても自分たちの手で一つ一つ行動を起こし、下から変えていきたいと思います。

 

◇聞いて一言

 「困っていれば手を差し伸べる」「みんなで良くなる」。震災以前からの付き合いの延長線上に、今回の成果があった。「周りに人がいれば、生活は楽ではないが、何とかなる」とも。希薄になったと言われる近所付き合いだが、新たなコミュニティーの姿を垣間見た気がする。

 

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■人物略歴◇こさか・のりまさ

1968年生まれ。札幌市出身。東海大工学部で建築を学ぶ。石屋などを経て囲炉裏や神棚などを手がけ、現在は扉作家、空間アーティスト。宇都宮美術館で開催中の「フィンランドのくらしとデザイン」展(8月26日まで)に「森の家」を展示中。26日は妻朋子さん(37)と「手作り」の挙式をする。




20120621毎日新聞地方版より転載




◆災害復興支援

 小川耕太郎∞百合子社ではその地の人と暮らしを支えてきた山や自然に目を向け、支援活動を行っています。2011年-2014年にかけボランティア団体「チーム日光」に支援させていただきました。以下チーム日光の活動がメディア掲載されましたのでご報告させていただきます。


◆詳細 東日本大震災復興支援の活動報告ブログ「チーム日光のキセキ」をご覧ください。

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