2012.03.28

2012年3月28日付 毎日新聞 栃木版 宮城・南三陸の仮設住宅と日光のボランティア集団、「結」でつなぐ

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◇宮城・南三陸の仮設住宅と日光のボランティア集団、「結」でつなぐ

 

東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町歌津地区の仮設住宅で、日光市のボランティア集団「チーム日光」=代表、小坂憲正さん(43)=が地元住民と建設を進めている「竪穴式」の集会所が、完成間近に迫っている。昔ながらの互助会組織「結(ゆい)」同士の結束を固め、被災者の交流拠点にと期待される。さらに270キロ以上離れた日光との「結」も生まれ、関係者は「交流の広がりの象徴に」と、完成を楽しみにしている。【吉村周平】

 

「神様を分けてもらった気がしてさ。ありがたいね」。2月上旬、歌津伊里前(いさとまえ)地区の互助会組織「伊里前契約会」の会長、千葉正海さん(56)が、こう言って尾鷲(おわせ)ヒノキの立派な柱をなでた。これを建材にしている伊勢神宮(三重県伊勢市)も、「契約会」が信仰してきたのも、同じ天照大神(あまてらすおおみかみ)。昨年12月から着工し、4月上旬には、いよいよ仕上げとなる内壁用の土ブロック作りに取りかかる。5月下旬には完成の見込みだ。

 

奥州沿岸部で、地域内の密接な人間関係を通じて自立した地域集落を作っていたのが相互扶助組織「結」。千葉さんの「契約会」も元禄6(1693)年から続く「結」として、冠婚葬祭や共同所有地の管理などで隣近所の住民同士が協力してきた。会員は現在、77世帯。それが「震災を機に外の人と接する機会が増えた」と千葉さん。ボランティアら、これまでになかった新たな交流が生まれたという。

 

小坂さんら「チーム日光」のメンバーは震災直後から、支援の手が届いていないことを知って歌津に入り、漁網や漁具を片付け、がれきを片付けた。

 

昨年5月上旬、地区のまちづくりについての会合で知り合った千葉さんと小坂さんは、酒を酌み交わすうちに意気投合。「家は買うものじゃなく自分たちの手で作るもの。自分たちでやってみたら」との小坂さんの言葉に千葉さんははっとした。「外とか中とか関係ない。良いやり方ならやっぺす。自分たちで掘って建てて。先代たちもそうだったはず」

 

小坂さんが設計したのは直径約10メートル、床からの高さ約4メートルの前方後円形の「竪穴式」。縄文時代の最もシンプルな建築物だ。全てを流され一からのスタートとなった今、ライフスタイルの「原点回帰」を意識した。

 

名称は復興の鍵となることを願い「歌津迎賓館『鍵』」と付けた。「人の心の扉を開く」という願いも託した。千葉さんは「仮設に一生いるわけではないが、また戻って『あの時』のことや、まちづくりのことを話し合える歌津の拠点になってほしい」と願う。小坂さんは「使われ方が大切。まちづくりは自分たちでやるしかない。そのきっかけになれば」と話している。

 

2012年328日付 毎日新聞 栃木版 より転載


◆災害復興支援

 小川耕太郎∞百合子社ではその地の人と暮らしを支えてきた山や自然に目を向け、支援活動を行っています。2011年-2014年にかけボランティア団体「チーム日光」に支援させていただきました。以下チーム日光の活動がメディア掲載されましたのでご報告させていただきます。


◆詳細 東日本大震災復興支援の活動報告ブログ「チーム日光のキセキ」をご覧ください。

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