2014.08.20

2014年8月20日付 紀勢新聞「世界へ伝統和紙を発信—賀田の小川社研修女性ら販売戦略—」

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紀勢新聞(2014年8月20日付)「世界へ伝統和紙を発信—賀田の小川社研修女性ら販売戦略—」

尾鷲商工会議所長期実践型インターシップ事業により小川耕太郎∞百合子社がインターン生としてアルバニア人の大学生を受け入れ、彼女の就業体験が取材されました。

以下転載—

尾鷲商工会議所長期就労型インターシップ事業で、アルバニア国籍の女子大生ドナ・イスマイリさん(20)が7月から尾鷲市賀田町の林産関連商品製造販売会社・小川耕太郎∞百合子社で海外の新規プロジェクトに取り組んでいる。


ドナさんは5歳の時に両親とアルバニアから日本に移住。鈴鹿高校を卒業するまで13年間、津市で育った。現在は英国ダラム大学で社会文化人類学を専攻する1年生。



尾鷲商工会議所のH,Pでインターシップ事業を知り「日本の伝統文かや産業を通して自然とのつきあい方を学びたい」と応募。担当の伊東将志総務課長が業務内容や海外への販路拡大戦略を考えている小川社との間をとりもち、7月22日から9月18日までの約2カ月館、同社での研修が決まった。


ドナさんに与えられた課題は、同社が2009年から販売している最高級和紙「草木灰越前生漉奉書」の海外展開を目指す「世界に売り込めプロジェクト」の推進。

人間国宝9代目の岩野市兵衛氏(80)=福井県越前市=が蕎麦茎の灰を使い時間と職人技をかけてすく奉書用の和紙。桂離宮の松琴亭のふすまの修復にももちいられ、ピカソが愛用したことでも知られている。300回の刷り作業に耐えられる強度や重ね色の再現性の高さから、現代版画の99%で使用されている。


新入社員とチームを組んで前半一カ月半は京都府や福井県など現地調査へ出向き、作業工程や歴史、職人、作品づくりに利用する芸術家の声などHPに掲載すべく内容をまとめた。後半はルーブル美術館やメトロポリタン美術館向けに海外の有名美術館向けにセールスH.Pの解説、既存のHPリニューアルに取り組む。


ドナさんは「母国ではない国で育った異国人はどの国にいってもうまくやっていけるが、社会や文化に対しての理解は中途半端で表面的になりがち。自分の文化的アイディンティティーを突き詰めたいという思いがあった」と動機を話し、「一か月間の研修で自然と共生する日本の伝統的な価値観について理解が深まった。奉書の価値がわかる美術館武家のPRだけでなく、多くの人に自然循環を巧みに取り入れ共生する日本の伝統技術や文化を世界中に広めたい」と意気込みを話していた。


小川耕太郎さんは「ドナさんはわれわれの気がつかなかったことを教えてくれた。既存の日本語HPに併設のドナの業務報告ブログが好評で閲覧者が急増している。高価で施工もむずかしく3年間売れなかった草木灰越前生漉奉書を襖紙にしたという問い合わせも来ている。



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