2016.03.30
松くい虫
「松くい虫」
北海道を除く全国のマツ山、マツ林が「松くい虫」の脅威にさらされている。
「松くい虫」とは、まだ被害の実態が科学的に解明されていなかった頃のネーミングであって、「松くい虫」という虫がいるわけではない。松の幹や枝を好んで食害する「マツノマダラカミキリ」に寄生する、体長1mmにも満たない「マツノザイセンチュウ」が、松木の内部で大繁殖して枯らす被害のことだ。
夏前に羽化したマツノマダラカミキリに寄生したセンチュウは、カミキリとともに松に移り潜む。一対の雌雄が交尾と産卵を繰り返し、15日後には26万の数に達するというから、おぞましすぎる。大増殖したセンチュウは、枝葉に水を送る仮導管を詰まらせ、2週間程で松を枯死させてしまう。センチュウが枯らした松は、次のカミキリの好産卵場となり、負の循環が始まってしまう。(竹村)