2014.08.10

桂離宮の中に「これからの伝統技術・文化を守る者の姿勢が見える!」—2014年8月1日インターン生 EDJONA ISMAILI日報より—

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–2014年8月1日インターン生 EDJONA ISMAILI日報より—

=======インターンの目標========

小川社と岩野市兵衛氏の理念を海外の美術館・和や伝統技に関わる施設が魅了されるようにしっかりアピールし、価値を理解してもらう上でそれに見合った使い方をしてもらえるように仕向ける。

昔からの根本の技術は守りつつ、今の時代に合った使い方、消費者を考えた、それでもって消費者にも使う上での奉書の価値をじっくり堪能してもらえる使い方をススめる。

伝統を大切にする心・こだわりぬく職人の心から現代の若者が得られるもの・メッセージは何かということへの答えを見いだす。

 越前和紙を中心に小川社の英語HPをつくる

 【2014年8月1日スケジュール】

8:00−8:15 掃除

8:15−8:30 打ち合わせ

8:30−9:30 桂離宮について調査/岩野市兵衛氏が漉いた奉書でつくった名刺を見せてもらう

9:30−12:00 岩野一家について見直し

12:00−13:00 昼食

13:00−15:00 午前の作業を元に、岩野一家への質問をつくる

15:00−17:00 ピカソ追求の電話・和紙について文化庁に電話

 

【内容・学んだ事】

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岩野市兵衛の奉書でつくった名刺を見せてもらう
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あとから藤井さんとも話す事でよりはっきりそういうことか!となったのだが、

実際に和紙を見てみたい・使ってみたいと思って、

百合子さんは顕微鏡を使って観察してみたら?」と助言してくれた。


繊維の絡み具合による耐久性、

紙の凹凸、

光の吸収率 などの

視覚的な機能性に着眼して。


その理由→→→→→なぜ偉大な作家さんたちは進んで岩野さんの紙を使うのか? 人間国宝だから、という事では決してなく、いい作品を作るために試してみた結果、岩野さんの和紙が使ってみてすごくよかったという単純なことなのだろうと。


そこで!!!!実際に(今も生きている)作家さん達に使ってみた感想を聞いてみたらどうだろうという事になる。



リストアップすると→→→→→エバレット・ブラウンさん/日光のくじら食堂の衝立をつくった幾何楽堂さん/小川代表が奉書名刺の活版印刷を頼んだ、代表の友人の奥様/そして、調査が必要だが、ジャスパージョーンズ


 実際に奉書の資料をいっぱいもらって、想像以上にコトバではあらわせられない感銘をうけた「そういうことか!」岩野さんへの執着に納得。



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桂離宮の中にこれからの伝統技術・文化を守る者の姿勢が見える

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桂離宮については、そういった機能性の面で

桂の数寄屋造りに見る、質素で静かなわびさびの美に、

どうやって「動」を見いだしたのか

他の建造物や庭との配置の関係性にも着し、

味をいっそう引き出すためにどういう計算がされているかを見て行く。


→日本の伝統美術を守るだけでなく、

訪れる客を常にた
のしませるような工夫がなされている。

それが今でも国内外で絶える事のない人気につながっているのだろう。

これからの伝統技術・伝統文化を守る者の姿勢のヒントがここにあるように思う。

時代に合わせた、その時代の人の視点を考えた見せ方。

桂離宮はもともとの姿をそのまま残すというのが

大修理時の理念だったため、これとは矛盾しているように思える。

だけど、ここでいう見せ方が変わったというのは、

根本の技術や様式を変えたのではなくて

参観が完全人数制限の予約制といった、商売の面での見せ方



桂離宮は、機能と見た目が別々に考えられているのではなくて、

共存している、日本古来の文化的精神の象徴。


その機能は畳の湿度調整や障子が光を吸収しそれによって作られる

やわらかい光を室内にかもすなど、

そういった快適さを追求するものだけではなく、

そこから生まれる哲学、例えば茶亭の客の御もてなし方など、

があり、またそういった哲学で作られたという意味での

精神的機能のつながりが強い。


そういうところで、日本哲学の循環という役割を桂離宮は果たしている


だからこそ、1976年の大修理では、

木目一つ変えない、そのままの形をのこすことが

最重要使命であったのだろう。

そこには、昔からの精神を残す事で

今私たちが忘れているものとは何か、

問いかけるものがあるのだろう。



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1976年桂離宮の大修復に関わった職人さんの言葉

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桂離宮に携わった職人さん達は、みな自分の技にプライドを持って仕事をしていた。1982年刊行の昭和の大修理の、各専門の職人さん達のインタビューを読んでいると、それがひしひしと伝わる。



桂離宮の土・水・日当りで育った苔でないと、意味がない。(庭師:丸山哲夫さん)



「漆器というのは昔の通りのままやっていれば立派なものができます。ちょっと材料を工夫したり混ぜたりしたらいかん」→自然のものは混ぜないというこだわりよう。(漆担当:大野竹二郎さん)


「この世界は、個人のわがままのプレーは、許されない。横のつながりを密にしていく」→日本の、実用性と美しさが並行して存在する古来からの自然循環型文化に忠実。(表具師:松村好得さん)


  

数え上げれば、キリがない。ほとんどの職人さんが、                原料調達や後継者困難に悩まされている。これだけ日本思想を残して行く桂離宮の大修理を担った職人さんなのに、その技術は失われてしまう危機にある。


どれだけ日本の思想が好きでそれを残して行きたいと願っている人でも、   すべて守るのは実際問題、できない。

小川代表が、岩野さん一家が漉く、純粋な自然のものだけで作られた、    草木灰 越前生漉き奉書を守っていこうと思ったのは、元々職人さんのプライドを守って行きたいという姿勢だったところに、ふとした耳に入ったところから生まれた、縁。でもその縁を大事にして、徹底して岩野さんに純度100%の奉書を漉いてもらう事で、その技を残して行こうとしている。



小川代表のコトバで心に残っているのは・・・・・

「この企画をやって会社に利益が出る訳じゃない。目標はそれでは全くない。 こんなにいい紙を作る技術がなくなってしまうのを防ぐ。なんだったらこれをきっかけに紙の専門のところが岩野さんの草木灰の越前奉書を守るって、なんかはじめてくれればそれもいい。」

→→→→→和紙が売れたら成功とおもっていた私の姿勢を変えた。小さい事でも、縁を大事にして、人の輪を広げれば、それは大きな輪になっていくのだろう。縁を大事にする、過密のはずの、人と人のあいだに「間」がある都会で失われて行っているものなのではないのだろうか。


 

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九代目岩野市兵衛質さんへの質問をまとめる

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小川社の大事にする、「地域に拠点を置きながら、

自然の循環に徹底的にこだわった、

化学物質と混じり気のない純粋なモノをつくる妥協しない」姿勢と

照らし合わせつつ、岩野さんに質問する内容をまとめた。



質問がしやすいように、そして答えやすいように流れを作ったが、

藤井さんが気をつけるよう言ったように話を聞く上で

自分の思っていた方向とちがう方向に行くかもしれない、

それをしっかり受けとめて聞く事でまた新しい発見があるだろう。



それもふまえて、聞きたい事が全部聞けるようにひねりながら

質問内容の軌道を調整する。

あと、岩野さんだけでなく、岩野ブランドの一員である家族にも

お話を伺えるように、奥さんと息子さんへの質問も作っておいた。(添付ファイル参照)

 

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ピカソについての調査を続行

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スペイン、フランスを中心に和紙をつかったものがないか聞いた。これもわかるのに時間がかかりそうなもよう。

 

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文化庁は、どういう意義で岩野氏を人間国宝にしたのか?聴きたい

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無形文化財保護のために、文化庁が工芸である

和紙を守るために何をやっているのか、

たまたま東京にいるし丁度いいので直接合って

話を聞いたらおもしろいかなと思って電話した。



なぜ話が聞きたいかというのは、

文化庁がどういう意義で岩野さんを人間国宝にして

生漉奉書を守る事に決めたのかというその判定基準と、

実際に伝統技術を守るために実際に行っている事。



現時点でわかっているのは、助成金を出したり、

後継者育成支援団体への援助をしたり、

文化財保護強調週間といういかにも興味の湧かなそうな、

強制したニュアンスのある推進活動。実

際何をやっているのか今の私には見えないし、

根本である原材料(国産の質のいい楮など)の確保については何もしてないように思える。お金をかけるべきところはそこじゃないのか??

その点をふまえていろいろお話を聞きたかったのだが実際行ってもドタキャンされそう。




そういうところでまた見えてきたのが、

文化庁の、技術を守って行こうという意図は見えていても、

やり方がちょっとずれている、押し売りみたいになっているということ。

それを小川社と比較すると、藤井さんの言ったように、

ある意味みんな面倒くさがって使おうと思わないものを、

どういう使い方があるのか、その商品にこもったおもいをじっくり伝え、

それでもって今の人にも使いやすい売り方にしていくことに励む会社、

というところで違うのかなと。

:追記:

日々追加したり編集したりをしていくので、小さな変化でしかないし

長いから見てもなんともならないんですが、とりあえずこれは毎日貼って行きます。

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 写真:小川社では、伝統技術の再現を目的とし、1967年桂離宮大修復に使われた市松模様の襖紙と同じ製法で作って頂いた。

 

 

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