経営支援の新しい形—-尾鷲商工会議所 村田浩子さん—–

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地方でインターン経験をしたり、働きたい若者が増えています。そんな中、全国に先駆けて[長期実践型インターンシップ制度]という住み込み型のインタシップ制度をはじめた尾鷲商工会議所さんの取組が注目されています。商工会議所がこのようなコーディネートをするのは全国で初めてだそうです。発起人は商工会議所の伊東将志さん。

小川耕太郎∞百合子社では、2013年の2月1日-3月31日まで、大学生の毛受(めんじょう)君を受け入れ、毛受君と一緒に[木もちeーデッキ一般化プロジェクト]に取り組みました。

今回は、インターンプログラム事業のメンバーとして千葉県から尾鷲へ移住し、コーディネートをした村田浩子(現在は専務理事)さんにお話を伺いました。—————–
この地域ならではの新しい形
———商工会議所がインターン生のコーディネイトをされるのは、全国で初めてですよね。その辺のことをお聞かせください————

村田「はい。中小企業の経営支援も行っている尾鷲商工会議所では、平成24年4月より、三重県より『社会的企業人材支援ビジネスモデル構築緊急雇用創出事業』に関する委託を受け、NPO法人G-netさんの協力を得てインターンシップ事業を開始しております。私が加わったのは、第一期 のインターン生が受け入れ企業にインターンとして尾鷲へくる直前 、ちょうど7月末からでした。

全国には、様々なコーディネート 組織があり、それぞれ特徴があります。例えば、岐阜のG-netさんは6か月間のホンキ系、ETIC.さんは地域ベンチャー留学、尾鷲商工会議所は、受入れ企業への経営支援の新しい形と捉えています。 」


千葉→尾鷲へ移住 この仕事を選んだ理由

—-村田さんがこの仕事を選ばれた理由を教えてください—-

村田「インターンとは、自分が働きたい会社での体験を」という先入観がありましたからね・・・初めは「大学生が地域でインターンをやるってどういうこと?」と疑問がありました。しかし、インターンフェアーにいってみると、地域でインターン経験を希望する大学生が大勢いてね、ビックリしました。しかも就職とは直接関係のないところへ、若者達が真剣に何かを求めているのです。彼らの熱い想いを実現するためにも、私もなんらかの形で加わりたい!そう思いました。」

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インターン生の目的と企業が抱える課題がマッチングしているのか?何度も確認作業をする

—インターン生を受け入れることによる、地域や受け入れ企業の利点を教えてください—–

村田「都心部に住む就業意欲旺盛な大学生が、インターン生としてこの地域に住み込み、日々の業務を体験したうえで、第3者として事業所の課題に取り組みます。もちろん事業所さんも一緒になって取り組みます。だから、インターンを希望する学生だったら誰でもいいわけじゃないですよね。インターン生の目的と企業が抱える問題がマッチングしているかが大切です。そのために私達コーディーネーターは事業所や学生達と何度も面接を重ねています。ある意味で学生の社会の常識にとらわれない行動力や情熱は地域にも大きな影響を与えてくれまからね。人の力が結集することで物事を動かすことってありますからね。」
murata_kaitai.jpg—確かに。当社もインターン生が来てから改めて気づいたことがたくさんありました。毛受君がいなかったら木もちe―デッキの解体工事や検証までしなかったと思います—

村田「地域の人もインターン生の行動をfacebook、ブログ、新聞などを通し、かなりみていますよね」

—弊社のインターン生、毛受 惇(めんじょう・あつし)君の初対面の印象はどうでした?—
村田「毛受君と会ったのはNPO法人G-netさんの2回目の面談の時だったかな?おとなしい印象でしたね」

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学生さん自身が自己を掘り下げ答えをみつけるような質問をする

村田「人によっても多少の差があると思いますが、最低3、4回は面談をします。G-netさんの場合は、学生のインターンに対する本気度を確認する作業を何度も行っていますよ」
—-どうやってホンキ度を確認するのでしょうか?—–

村田「面談をする人にもよりますが、私が同席したコーディネーターはコーチングのプロで学生の導きがとても上手でした。例えば「小・中・高校生活の中で、思い出してみて。自分はどういう場面で根気があった?」「どのような場面で頑張れた?」等 学生さん自身が自分を掘り下げるようなそんな質問をします。
毛受君の場合は、インターンはやりたいけど・・・何をやりたいのかが見えず、目的が曖昧でした。そこでG-netのコーディネーターが毛受君に対し「自分の中で興味のあることを調べて」と伝え、彼がだしてきた答えが「自然と関わることに興味がある」ということでした。そんな彼をみて、私は小川社が良いのでは?と思いました。ただ、ちょっと心配だったのは、毛受君はおとなしいので、質問すると「う-ん」と黙ってしまうことでした。多分、すごく真面目なので自分の中で答えが確認できるまで答えられもない部分もあったのかな?私は彼の「ハイ」という返事が上辺だけなのか、それとも本気の「ハイ」なのかを繰り返すような面接をし、彼の中に秘められ想いを探りました。」
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▲2013年度のインターンの時は、この事業部のリーダーだった伊藤将志さん。
現在は課長に昇進され、尾鷲市早田と九鬼町の町おこしの中間支援事業を取り組んでいます。尾鷲市九鬼町地域起こし協力隊の募集 / 尾鷲市早田 地域起こし協力隊 /地域仕掛け人市

インターシッププログラムは自身で答えを見出すプログラム


——小川社のスタッフもインターン生が日々の日報を書くことにより、彼がどこまで覚えたかを確認ができ、またインターン生の気づきにより、私達の方が学ばせてもらった方が多かったです。あのプログラムの意図を教えてください——

村田「インターン期間は長いようでいて非常に短い。日報を書くという行為は自分が求めていたことと真剣に向き合える時間です。最初は、学生意識の延長だから「楽しかった」程度しか書いてきませんよ。何回も注意はしますけどね。でも中間モニタリングではじめて日報の大切さに気づきます。そのときに「だから言ったでしょ。日々の日報作業を通して気づくことが重要なのよ!」と伝えます。すると学生達はガラッと変わってきます。この地域は誘惑が少ないですよね。ある意味、自分と向き合う時間や集中して仕事に向き合うことができるから素晴らしい環境だと思います。」

—–確かに。この地域は場所によっては、電波がつながらず携帯電話も切れることがありますからね—-
村田「今の学生は繋がるのが当たり前ですから。携帯がつながらないことでホームシックになり、仕事のモチベーションがガクンと落ちた学生もいます。「便りがないのが元気な知らせ」という感覚はありません。」
—-昔は弟子入りする時は持ち物に制限がありましたよね。それは自分を空っぽにして何もないところから始めることに意味があった訳です。今の人がわざわざ自分を無の境地にもっていくことは非常に難しいと思いますが、そういう境地に心を定めると、なんでも学びとなっていくので「教えてもらえる」という感覚がなくなります。「学び取る」と「教えてもらう」とは全然違いますからね。「教えてもらえる」というスタンスの人はハッキリいって伸びません。そういうスタンスで仕事をしていると、組織的としても新しい仕事が見いだせず、事業所としても悪循環になってい傾向はありますからね。—


受け入れ企業としてもインターン生を受け入れてよかった点

村田「海外に行ったとき強く感じたことですが、日本人は「空気を読むこと」を重視します。でも「何のための空気?」「漠然とした空気をもう一度再確認する作業」がなければ、問題がみいだせないですよね。そういう意味では毛受君は毎日ビッシリ日報を書いてくれ、自分自身で答えをみつけていましたよ」


—-確か・・・インターン初日に耕太郎さんに「メモを取るな!」と忠告されていました。建築業界の世界は現場作業をしている時はメモがとれませんからね。耳を澄ましカラダで覚えるという技を身に着けてもらいたかったのでしょう—-

村田「でも毎日そういう気持ちで聞いていたら、耳も研ぎ澄まされますよね」
—そういう感覚を身に着けた毛受君のレポートは生きた言葉となり、小川社にとってもとっても大切な資料となりました。小川耕太郎も「毛受君のつくったこの資料をもって営業に回る」と意気込んでいます。インターン生と当社のマッチングはバッチリでした!今日お話しを聞けて良かったです。本当にお世話になりました—
村田「こちらこそ、また
宜しくお願いします。」
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(ここまでのインタビューは2013年5月に伺ったお話になります)
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毛受君が大学に戻り、早1年と三か月経ちます。インパクトドライバーも鋸ももったことのない大学生が小川社にきたことで、日常業務の合間にウッドデッキの解体を行えました。湿度の多い日本で、どのように工夫を重ねたら[無公害×国産杉]が使われていくのか??
「何もそんなに頑張らなくてもウッドデッキなんだし、外国産のハードウッドを使ったり、防腐剤を塗ればいいじゃん」という考え方が主流の中、[国産杉×無公害塗料]でつくったウッドデッキは様々な課題を克服していけば、更なる需要が見込めますので、結果的に日本の山林循環と結びつきます。
毛受君の残した課題は、小川社の竹村を中心に継続しています。下記の写真は、ウッドデッキの工法や仕様による比較耐久実験です。
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[国産杉×無公害塗料]のウッドデッキ材を使っていただくためには、様々な角度から検証と実験を
繰り返すことは大事なことです。とはいえども日常業務と並行し、このような実験&検証をするのは困難な面がありました。しかし、インターン生が入ったことにより、このような検証&実験が継続して取り組める体制が整いましたので、会社としても良かったと思います。
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尾鷲商工会議所さんは、次々新しい取組に挑戦されています。尾鷲高校のインターシップ制度、尾鷲こつまみバル、町おこし中間支援事業、枝元なほみさんを率いる魚食推進プロジェクト 他。商工会議所の伊東将志さんが様々な壁をぶち抜き突破口となり、次々に仲間が育てあげ、様々な取組をされており、ものすごいチーム力を感じます。
そのメンバーの一人村田浩子さんが、この春に専務理事に昇格されました。歴史ある組織を変えるのは大変なことと思います。益々お忙しい毎日だと思いますが、元気な尾鷲を創り上げていく姿勢にみんな元気をいただいていると思います。これからも頑張ってください。
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村田浩子(むらた・ひろこ)
中米ベリーズ国にて、青年海外協力隊としてシングルマザーの起業支援の仕事を担当。2012年7月末より尾鷲商工会議所が取り組むインターンシップ事業のコーディネータとして尾鷲へ移住。2014年4月 尾鷲商工会議所専務理事就任