商品哲学

約16年前に、地元のヒノキでフローリングを製造する協同組合を立ち上げようということになり、当初私はアドバイザーとして名を連ねました。フローリング工場では、自然塗料を使おうという提案をしましたが、自然塗料のことをわかる人間がおらず、私が自然塗料といわれているモノを調べました。調べているうちに乾燥剤や有機溶剤などが使われていることを知りました。「これらを使わずに自然塗料ができないのでろうか?」と考え、「えぃ自分で創ってやれ!」と決断しました。小川社では

「自然を生かした商品または持続可能なものを扱う」「その商品をつくることによって、地域の自然環境や職人さんたちの技術が持続的に継承していけるか」

具体的にいいますと、1999年につくった「蜜ロウワックス」は、原料には国産蜜ロウを使用し、製造は養蜂家に委託し、新たな収入源になりました。また、養蜂家は農家にミツバチを貸し、ミツバチの花粉媒介により野菜や果物の受粉に貢献しているため、結果的に第一次産業に輪を広げました。

とはいえ、蜜ロウワックスを販売した当初は、非常に冷ややかな反応でした。「こんなに手間のかかるものは売れない」と相手にしてくれません。「いかにクレームがないか、メンテナンスがかからないか」というマーケットに選ばれる商品が売れる基準でした。だったら何年もかけ「キズや汚れなども味わいに変わっていく、そんな木の経年変化の愉しみを伝える」ことに専念し、様々な伝え方を繰り返した結果、徐々に広がっていった商品です。

「無いものは、自分達でつくる!」「時間をかけて商品を育てる!」

お蔭様で、多くの方々に見守っていただき 皆様に愛され育てていただいた商品が「未晒し蜜ロウワックス」だったのではないかと思います。これからも「つくる」ことにより地域社会が元気になり地域の自然環境が循環できる、そんな社会を目指し頑張っていきたいと思います。

小川耕太郎百合子社 代表 小川耕太郎

▲原料の仕入れと製造は養蜂家に委託。養蜂家にとっても新たな収入源となった。

写真左:ミツバチ受粉右:人工授粉

▲電子書籍 [山と農家とミツバチ]
メロンやいちご、さくらんぼ。どれが好きかな?この果物はね、果物の花が咲頃に、果物を育てる農家の畑にミツバチの巣箱を置きに行くんだ。そうするとミツバチが果物の花粉をせっせと集めにいくんだ。続きを読む

雑誌チルチンびとNo17に未晒し蜜ロウワックスが掲載されました